
医者の言いなりになって苦しみながら少しだけ長生きする人生と、
最後まで健康に生きる人生どっちを選びますか?
決めるのはあなた自身です。
手術が成功したとしても胃や食道を切除すれば当然、
生活に与える影響は大きい。
「個人差はあるのですが、胃や食道のがんは食生活に大きな影響が出る。手術してみないと、その後の経過がどうなるのかはわからないのです。胃瘻(腹に穴を開け、直接胃に栄養を送ること)をするようなことになってしまうと、『自分の口で食事もできずに長生きするくらいなら、手術はせずに死んだほうがマシだった』と考える人も出てきます」(平岩氏)
大腸がんの場合も、とりわけ直腸を切除した場合、便をためておく部分がなくなり、排便機能に障害をかかえることになる。また、直腸の周囲には自律神経が多く走っているので、性機能に障害が起き、不能になることもある。いずれも失えば人生に多大な影響を及ぼす大切な機能だ。
日の出ヶ丘病院のホスピス医、小野寺時夫氏が語る。
「全員が手術をしないほうがいいということではないですが、がんが他の臓器や多数のリンパ節に転移したり、周囲の臓器に浸潤していたりするステージⅣの場合は、無理に手術しないほうがいい。その理由は三つあります。
一つは転移したがんが原因で亡くなる場合が多いこと。次にどんな丁寧な手術をしても散らばっている目に見えないがん細胞を全部切除することは不可能なこと。三つめは、高度進行がんを無理に手術すると、残っているがん細胞の悪性度が急に増して、再発することがあることです」
がん手術の後遺症が、新たなるがんの発生だとしたら、泣くに泣けない悲劇である。
胃がん、大腸がんとともに三大がんの一つに数えられる肺がんはどうだろう? 都内大学病院の呼吸器外科医が語る。
「局所的で手術可能だと確信できたら医者は手術をしたがります。しかし言うまでもなく、肺を切除することは、術後の生活に大きな影響がある。肺の機能が一部失われるわけですから、ちょっとしたことで息切れをする、階段の昇り降りがとてもつらくなるといったことがあります。
65歳を過ぎて、体力の衰えが目立ってきた高齢者にとっては、
手術がベストな選択肢とは言えないのですが、医者はそこまで
考えないし、教えてもくれません」
がんは切るのがいちばん——それは体力的にも余力のある若い人の話。70歳を超えた高齢者にとって、安易な手術は8割方、後悔の種になるということを肝に銘じておきたい。
「週刊現代」2016年7月2日号より
どれだけ医学が進歩しようが、治療する医師に技量がともなっていなければ、患者にとって意味はない。そして、実はそんな医師が山ほどいる。
