イメージ 1
 
③ 血圧を下げても病気発症リスクは変わらない
 副作用というリスクを負って降圧剤を使ったとしても、高血圧に伴う様々な病気の発症を抑えられるわけでもないという。
 「たとえば、従来の基準で高血圧になる血庄一四〇の人に薬を投与して基準以下まで下げたとしても、心筋梗塞などの発症率は変わらない。
  海外では軽度の高血圧と見なされる、一四〇から一五九ぐらいの人たちを対象にした比較試験が、すでに四回ほど行われています。
しかしいずれも、葉を飲ませても飲ませなくても何も変わらなかった。死亡率も減らないし、血管障害も関係なかった。だから薬を飲んだ人たちは、乱作用が出る分、
損をしています。でもこうしたデータを示した論文は『信用できない』と医師たちに無視されてきた。だから啓蒙が進まなかったのです。これは世界的な傾向ですね」

④「上が一四七までOK」も疑え
 近藤氏は従来よりもはるかにゆるめられた“新基準”にさえも、疑義を呈する。
 「今回、基準値を求めるにあたり、“超健康人”を調べて各数値を取り、低い方から高い方に順に並べて両端の二・五%をカットしています。
そして血圧の上は一四七となっていますが、カットした二・五%の中に一五〇、一六〇の人もいたはず。基準範囲のワク外であっても“超健康人”なのだから
、異常値とは言えません。むしろスクリーニングなどせずに百五十万人全ての数値で計測した方が良かった。その方がより正確な基準範囲を示すデータになったのではないでしょうか」
 近藤氏の指摘通りならば、従来基準はもちろん今回提示された新基準範囲も意味を持たなくなりそうだ。
  ただ、そうは言っても自分の血圧が果たして「高いのか低いのか」把握しておきたい方も多いだろう。その基準はどこに置けばいいのだろうか。
 「目安として六十歳以上の方は、“実年齢+九〇”と考えて下さい。体調面で自覚症状がない六十歳の人なら上が一五〇、七十歳の人なら一六〇までは正常血圧と考えていいでしょう。
日本は以前その基準を使っており、ここ半世紀のデータを見渡しても、それで人々に何の問題も生じていない」

⑤検診に行かないこと
 さらに近藤氏は人間ドック自体についてもこう語るのだ。
 「私はそもそも検診や人間ドックは百害あって一利なしと言い続けています。自覚症状がないのに検診に行き、病気を見つけて貰って、
治療を始める―。これは最も避けなくてはならない事。病院は患者がたくさんいないと経営上困るので、病人を数多く生み出したい。
そのため、治療が不要な健康人も病人にしてしまう。高血圧でもこれまでこの構図のもとに“患者”が作られてきました。人間ドックや検診はその意味で受けてはいけないのです」
 今回、日本人間ドック学会と健保連が発表した新基準範囲のなかには成人病(生活習慣病)に直結し、多くの人が気にしている「コレステロール値」や「血糖値」も含まれていた。近藤氏によると、これらも血圧とまったく同じ。
  たとえば、血中コレステロール値も従来とは大きな隔たりを示している。
  男性では一四〇~一九九未満が異常なしとされていたが、「超健康」な男性達が示した数値は一五一~二五四だった。
  また、女性は年齢によってバラつきが出ている。“新基準”では三十歳~四十四歳の数値は一四五~二三八。四十五歳~六十四歳は一六三~二七三。大十五歳~八十歳は一七五~ 二八〇となった。
  いずれも上限は「二〇〇未満」という従来基準よりかなりゆるくなっているが、近藤氏は「この数値も意味がない」とバッサリ切り捨てる。
  「コレステロール値が三〇〇以上というように、あまりに高すぎると、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の発症リスクに直結する事は確かです。
しかし、それを下げるとさらに危険です。大前提としてコレステロールは人間の体にとって非常に重要な物質です。あらゆる細胞膜の構成成分であり、
性ホルモンや副腎皮質ホルモンを作り、胆汁の元にもなります。数値が低い方がいいという方向性自体が誤っている。
 そもそも、人体にあるコレステロールの約七割は体内で合成されるから、食事で数値を下げようとしても、あまり意味はありません。
また、薬などで数値を下げると、逆に命が縮みます」
  高血圧同様、コレステロールにも「下げるリスク」が存在するのだと言う。
 「まず、薬自体による副作用を知っておくべきです。メバロチンという薬はコレステロール値を下げますが、一方で筋肉を溶かし、
肝機能障害や末梢神経障害を起こす可能性がある事が分かっています。コレステロールが少なくなる事で脳から筋肉への指令がスムーズに行かなくなる現象も発生します。
  最近では薬剤の特許が切れる為、後発の商品は“より強い効果”を持った薬である事が多く、副作用も強くなる一方です。
  詳しい副作用を把握していない医師も多いので要注意です」