チーム・パローラ | 魂こがして

魂こがして

 ボクサーのように闇切り開け!  魂 焦がして!

今更ながら、インターネットとは便利である。
勿論便利であるからこそ、そこに付け入る犯罪も多くなるがのだが、とにかく情報が増えた。
気になることを検索しクリックしていけば、概ね求めていたものにぶち当たる。
これ、自分の足で動いたら相当時間掛かるし大変である。


で、何かというと。
数年前、いや十何年前に好きだったバンドがあった。
ちょっと変わったバンド。
変わり過ぎていたので、大衆受けはせず、ヒット曲は無い。
そのバンドを知ったのは、深夜放送のラジオ。


そのバンドのヴォーカルがパーソナリティを務める深夜放送。
内容は人生相談。対象は中高生からの若者。
自殺・いじめ・ドラッグ・援交・・・・。
そんな生臭い言葉が飛び交うことも多かった。
個々の相談に真摯に受け答えるそのパーソナリティに興味を持った。
時に笑い、時に怒り、本気で語るその姿が好きだった。
くだらない事であっても頑張った者には、賞賛を送ることで、聴いている第三者までもが暖かい気持ちを感じることが出来た。
そして本気で悩んでいる者には、真剣に一緒になって解決の道を探しながら勇気を与えていた。
たかが深夜ラジオの企画ではあったが、多くの人が心を動かされたことと思う。


その番組が好きだった。いや、番組企画としては良くあるものだから、番組というよりもそのパーソナリティの考え方が好きだったという方が正しいかもしれない。
仕事の時間がいい加減だったこともあって、深夜にもかかわらず、その時間合わせるように車で外回りに出掛けたものである。


そのおかげで、そのバンドにも興味を持ち出す。
バンドも知名度が上がり、そのヴォーカルもテレビでレギュラー番組を抱え出しいい感じで賑わって来た頃、ある事件が起きてしまった。


若者たちに人生相談で道を示していたパーソナリティのバンド仲間が起こした言い逃れられない事件。
そのことがきっかけで、レコード会社も契約解除。そしてバンドは活動停止。
このヴォーカリストには量りきれない程の重圧が圧し掛かったことだろう。


そのまま、情報が途絶えた。


そのヴォーカリストが、何をしているのか。
表現者として、まだ続いているのか。
追いかけなければ情報が入ってこなかった。


そこでネットである。
ふと思い出し、そのバンドのことを検索。
数度のクリックで、彼が今でも表現者であることを発見。
あの事件から、海外へ放浪の旅に出ていたらしい。
そして今は当時と名前を変え文筆業に就いている。
もう5~6年経つみたい。


明川哲也。


中々、本を読まない自分だが、ちょっと探して読んでみようと思う。
ふと、こんな発見が嬉しく書き留めてみた。


ちなみにそのバンドのお気に入りの曲。
「ハタ坊のおでん」
運転してる時に、そのラジオ番組で初めて聴いた。
数分後、路肩に車を止めていた。
涙が溢れて前が見えなくなったから。
ストレートに響いた歌詞に心震わされた。
翌日CDを買ったことを覚えている。