東博の「長谷川等伯」展
3月10日で、入場者が10万人突破だそうです。
いつもいつも、東博さんはマーケティングがお上手ですよね。
国宝の『 松林図屏風 』。何度か拝見したことがあり、わざわざ混
み混みの中で観ることは無かろうよと思ってはいたものの、やはり
集大成的大回顧展とあらば、行っておかないと、きっと後で後悔す
るだろうな、と思い直して出かけたのでした。
ところが、ようやく時間が取れたのが火曜日の冷たい雨の日の夕
方。かじかむ手に傘を持ち、上野駅から上野公園を抜けて歩いて
いく距離が、こんなに長いと感じたことはありません。
寒い日なので比較的空いているだろうと思って平成館に入るや、
混んでました。コインロッカーが満杯で、しばらく待ってても空きそ
うになく、後の時間が少ないので断念。
帰りになって思い出したのですが、こういう時は本館から入って、
そこのロッカーを使う方が確率が高いのでした。^^;
さて、作品について、結論からいきますと、
「やっぱり 等伯は水墨画」というのを個人的に再確認した次第。
一生を通してみると、仏画も金碧画も巨大な涅槃図も、後の水墨
画のための助走 or 模索 or 職業請負...ではなかったかと。
そんな中で(『 松林図屏風 』は置いといてとして)今回のイチオ
シです。
『 瀟湘八景図屏風 』 6曲1双 東京国立博物館 蔵
右隻の右下と左隻の左下の墨が濃くて、線も太いのが少し気に
なるものの、逆に、それが全体のコントラストとなって、墨の淡に
よる中央部の山なみの遠景を絶妙に表現しています。
もし、遊体離脱が出来るなら、深~い、無音の、遠~い空間へと
水の上を歩いて行けそうな、そんな感覚におちいる遠望です。
等伯は、長らく、そういう「水墨画」を描きたかったのでしょうね。
その積もり積もっていたアイディアとエネルギーとが詰めこまれ
たような作品だと感じました。