さて、ゴーギャン展 2009
こんばんわ。FishEyeアートです。
パソコン故障や、情報源の少ないクレラー・ミュラー夫人のコレク
ション経緯の調査なんかで、あと、暑くて大雨で地震があって、麻
薬スキャンダルのニュースに選挙のマニフェストとか、なんやかや
で、随分、遅れてしまいました。^^;
やっと、「ゴーギャン展 2009」のことです。
■ ゴーギャン展 2009
場所: 東京国立近代美術館(月曜休館)
日時: 2009.7/3(金)- 9/23(水・祝)
http://gauguin2009.jp/index.html
今回の目玉は、もちろん、本邦初公開の、ボストン美術館 蔵、
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『 我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか 』 1897
です。
しかし、個人的には、それ以上に、この絵以降のゴーギャンが死
亡するまでの数年間の作品についてに興味がありました。
おそらくは、最後に大作を仕上げて自殺しようとした人は、その後
は一生の「アク」が抜けて、温和で安寧な気分になるのだろう、と、
第三者的には、そんな勝手な推測をしてしまいがちです。
また、モームの「月と6ペンス」でも、その、『 我々はどこから、、』
らしき作品を題材にしたクライマックスながらも、その作品を燃や
してしまって小説は終わるので、結局、それ以降が判らないので
す。
そもそも、ゴーギャンという人は、タヒチに渡る前、自分の才能、も
しくは使命に絶対の自信を持っていた人でした。
『 劇画的自画像 』 1889 ワシントン・ナショナル・ギャラリー 蔵
『 黄色いキリストのある自画像 』 1889-90 オルセー美術館 蔵
しかし、世間一般に理解されないことに対する絶望と強い焦燥感が
ありました。
『 ゲッセマネの園の苦悩 』 1889 ノートン美術館
確かに、タヒチに渡って、傑作を生み出していきます。
『 アレアレア(愉び)』 1892 オルセー美術館 蔵
『 市場(タ・マテテ)』 1892 バーゼル美術館 蔵
それでも、満たされなかった彼は服毒自殺未遂の後、、
諦観(したのかな?)の作品、
『 団扇を持つ少女 』 1902 フォルクヴァンク美術館 蔵
などを観ると、「あぁ、このおっさん、晩年になって、やっと毒が
抜けたのかな?」とか思ったりします。
ところが、次の作品などを観ていると、、
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『 未開の物語 』 1902 フォルクヴァンク美術館 蔵
逆に、さらに、感性も筆も研ぎ澄まされているでしょう?
なになに、まだまだ、全然、健在。
その尖がった作品を、今回、いくつか観られるかな、というのが、
一番の期待でした。
『 テ・パペ・ナヴェ・ナヴェ(おいしい水)』 1898
ワシントン・ナショナル・ギャラリー 蔵
この、赤い地面、力強いですですねぇ。
『 浅瀬(逃走)』 1901 プーシキン美術館 蔵
なんとも、毒のある作品です。
『 赤いマントをまとったマルキーズ島の男 』 1902 リエージュ美術館 蔵
などなどと、期待に応えてくれる、良いピックアップでした。^^
ゴーギャンは、自殺未遂後、タヒチより、さらに未開の島へ移動し
ていきましたが、その後、スペインへ渡る計画も立てていたとのこ
とです。病気で弱る身体でありながらも、きっと、頭の中には、彼
自身の第2章、第3章のプランがあったのでしょう。
つまり、『 我々はどこから、、、 』 は集大成でも終わりでもなく、
また、彼は文明逃避の安逸を求めたのでもなく、最後までチャレ
ンジャーであり続けたんでは? という仮説を、それを今回の展
示会で確認できたと思います。
いや、となると、モームの「月と6ペンス」で最後に燃やしてしま
われる絵画=『 我々はどこから、、』と考えるのは、拙速なのか
もしれません。
まだまだ、奥の深い、ゴーギャンです。^^;
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