高山辰雄の 『 食べる 』
こんにちわ。FishEyeアートです。
「日本の美術館名品展」のこと、その2です。
高山辰雄 『 食べる 』 1973(S48) 145.5*103.0 大分県立芸術会館
3~5歳くらいの子供が、一人、ちーさなテーブルに向かって、無
心にご飯を食べている姿。
会場の解説文を読んでいたら、この作品1点を観るために、大分
県立芸術会館へ訪ねていく人も多いそうです。 解るような気が
します。
その解説文、続いて、「孤独を表している」といった表記がしてあ
りました。確かに、一人/赤暗い部屋で/コップ一つテーブルの
上に置いて、というシチュエーションです。この子は、食べ終わっ
た後も一人で遊ぶのだろうか? という感があります。
しかし、そーかな? ただ、それだけかな? と思いました。
「お腹すいたー! お腹すいたー!」という欲求と、それを満たす
過程においては、「孤独」という感傷は入り込みにくいと思います。
この作品の子供の無心さは、むしろ、ほほえましさを出している
ようにも感じるのです。
ゴーギャンに影響を受けた高山辰雄の作品であることを鑑みても、
『 説教の後の幻影(ヤコブと天使の格闘)』 1888 スコットランド美術館
などのように、その場の人物の心象を描いて、絵画を観る人も、
その心象と同期させるように、この作品でも、「食欲」という欲求
を絵画を鑑賞している人にも一緒に感じさせているのでしょう。
だとすると、「ともかく、ご飯がおいしい」というのが、中心にあっ
て、たとえ、置かれた環境が、孤独であろうと食糧難な時代で
あろうと、その瞬間は、何にも換えがたい、とっても楽しい至福
の時間なのです。
と、大人のあなたも、そう思うでしょ? ^^;