【太田勝正】タカ投手からスポーツ用品店勤務② | 0709さんのブログ

【太田勝正】タカ投手からスポーツ用品店勤務②

5月27日付西日本新聞

【太田勝正】
野球漬けの人生だった。再就職先を探すにも、履歴書の書き方も分からない。妻から勧められ、大型自動車免許の取得を試みたものの11度も実技試験に落ちた。先が見えない中、妻が「少しでも野球に関われる仕事を」と、スポーツデポの社員募集案内を見つけてきた。

07年3月、初めて店頭で頭を下げた。それまで道具の手入れはスタッフ任せ。客の質問に答えるのは、おっくうだった。それでも、野球がうまくなりたい少年少女は、仏頂面の『元プロ』を頼ってきた。

1年ほど過ぎた頃だ。中年男性から1通の手紙を手渡された。「ホームランを打てたのは、太田さんのおかげです」。前日打撃のコツを教えた男子小学生が、父親に託したものだった。「息子さんをほめてあげてください」。礼を言いたいのは自分の方だった。「野球って、楽しいんだね」。野球に熱中する子どもたちを見守りながら、繰り返した。