僕の職業は、編集者です。

ブログタイトルに表れているように、カバーするジャンルはアウトドア系。
これまでの約30年間、釣りやキャンプ、登山をテーマにした数多くの雑誌や書籍の製作に携わってきました。

本をつくるには、やっぱりすでに世に出ている本をチェックする必要があります。
商売ですからね。
アンテナを張って、自分の関係するジャンルの本や雑誌をできる限り、見たり読んだりします。
売れているものには売れる理由があり、売れていないものには売れない理由があるはずですから。

といって、僕の場合、「これは売れる!」と思ってつくっても外すこともしばしばなのですが。

もちろん、元々、本を読むことは嫌いではありません。
ところがですねぇ、頭のなかのハードディスク容量が少ないのか、メモリが足りないのか、僕、読んだ本の内容をけっこう忘れてしまうのですよ。


恥ずかしながら、本棚の一角をちらり。やはりアウトドアに関係する読み物が多いです。

たとえば、最近、映画が封切られて話題となっている、『エヴェレスト~神々の山嶺(いただき)』。

はい、これ。先週、日比谷の映画館で観ました。阿部さんも岡田さんも山姿がかっこよかったですねぇ。

原作は、夢枕獏さんですよね。とても分厚い文庫本で上下巻に分かれていて。
もちろん、読破してますよ。そして、読み終わった瞬間には大感動していました。

でも、読んだのが5年以上前ということもあり、映画を観るときはほぼほぼ内容を忘れていたんですね。羽生とアンツェリンの名前、伏線にあるマロリーのカメラくらいしか覚えていないくらいで。

でも、それがかえってよかったのか、映画を純粋に楽しめましたよ。
あんな分厚い本2冊分を2時間のドラマにすると、原作とは違うところがきっと出てくるでしょうからね。
原作をばっちり覚えていると、あそこの場面は原作だと違ったとか、あのシーンは原作にはなかったとか、そんなふうに観ちゃったり。その楽しみ方もありだとは思いますが。


これは最近読んだ2冊ですね。新田次郎のほうは表題作もグーですが、なんといっても一緒に収録されている『おとし穴』がおもしろかったです。『山でクマに会う方法』はクマに会いたくないので読んでみたのですが、クマの習性などとても勉強になりました。

あと、読んだ本の内容がごっちゃになっちゃうこともよくあります。
たとえば、シカに関する本を読んで、次にクマに関する本を読んだりすると、へんなことになります。

だれでも知識を得ると、それをひとに伝えたくなりますよね。

で、友人との山歩きの最中、シカの糞がなぜ丸いかなどいったテーマを読んだ本の受け売りで語っていると、いつしか繁殖期の雄の行動についての話などに発展し、すべてを得意に語り終わったときに、繁殖期の話はクマの話だったことを思い出すとか。
聞いているほうの友人は間違った知識を語られるわけですから、大迷惑ですよ。面倒くさいし。

たぶん、僕にブックレビューの仕事はできないだろうな。ほんとうに本を読むのは好きなんですけどね。

さっきの『神々の山嶺』の話とも被るのですが、内容を忘れていると、2回目に読むときも大感動できて得ですよ。


あれ? なぜに横になっちゃった? ま、いいか。1988年発行の『凍(しば)れる瞳』。西木さんはこの作品で直木賞を取りました。

ふと、マタギものの作品を読みたくなり、そういえば西木さんの『凍れる瞳』のなかに、昔、大感動したのが収録されていたなと思って再読したのです。

作品名は『頭領(シカリ)と親友(ドヤク)』。
ウサギの肉の汁ものがうまそうに書かれているところがあったんだよなぁなんて、内容を思い出しながら読んだら、全然、違っていました。ウサギ猟の場面は出てくるけど、ウサギの汁物は出てこない。第一、撃てていない。(あらすじはあえて書きませんよ。もうだいぶ忘れちゃっているし)

ショウブ!

でも、このマタギ言葉に、再び大感動したんですね。

『頭領(シカリ)と親友(ドヤク)』、年老いたマタギの悲しい物語です。最高! 
前に読んだときは20代前半だったけど、住宅ローンがまだたっぷり残っていて、老眼に苦しむ51歳になって読むと頭領(シカリ)の気持ちがとてもよくわかります!
20代のときはどこに感動したのかな。きっと若いなりに物語の強さに圧倒されたんだろうな。

本日の結論。
本の内容を忘れやすい編集者もいる。
意外とそれはおめでたくて得な性格なのかもしれない。