何を隠そう菜之花はゲーマーでございます。

 しかも未だにスーパーファミコンとモノクロゲームボーイでしか遊んでいないというレトロゲーマーだったりいたします。
 猫がちょっとカートリッジを突っつくだけでセーブデータはめでたく昇天、数日間の努力が水の泡になるという悪評高いスーパーファミコンではありますが、「Nobody is perfect」という言葉は自分とゲーム機のためにあると信じている菜之花は、そんな頼りなさも含めて気に入っています。

 それにしてもずっと欧州におりますと、日本語のゲームソフトが欲しければ帰国まで待たなければならないですので、自然とレトロゲーマーになってしまうんですな。
 こっちで翻訳版を買えよーと言ってくれる人もいますが、やはり売られている作品の数は今でもかなり違う。アメリカの方では出ている作品でもこちらには全然来なかったり。

 しかも近頃はましになったとはいえ、初めの頃のゲームの翻訳はもうお話にならないほど酷かったのでございました。
 何でも日本語から英語に訳したのを使ってそれをまた別の言葉に訳す、というのが多かったのですが、それがどういう結果になるのか知りたい方は、エキサイト翻訳でも使って何か名セリフを日本語から英語に訳した後、フランス語でもドイツ語でもスペイン語でもいいですからそれを訳してからまた日本語に戻してみてください。
 …おそらく何のゲームなのか分からないと思いますぜ。
 (大体何語なのかも分からないかも…?)

 忘れもしないGBの名作「聖剣伝説」。これはかれこれもう十五年ほど前にまずこちらで買ったのですが、この翻訳のおかげで散々な目に合いました。
 兎に角、理解可能な文章になっていないところが多過ぎる。しかも何故か当時の欧州でのゲーム翻訳は「子供相手」を意識し過ぎたためか、言葉遣いが非常に子供っぽくぞんざいで、ゼルダ姫まで不良娘になる。

 「おい、ここは危険だ、ずらかろうぜ!」

…なんて感じで。(あくまでゼルダ姫です)

 だから聖剣伝説のストーリーも何となく分かったような分からないような。まあ当時の欧州はまだファミコン時代ですので、多少設定が分からなくても、そのままスルーで遊べる人は多かったけど。
 とはいえ、ストーリー部分は首を傾げる程度で済みますが、攻略となるとそうはいかない。
 例えばご存知聖剣伝説では砂漠のダンジョンに入るため、隠れた入り口を探さなければならないのですが、そのヒントがこんな感じ。

 「木を八する」(8じゃなくて日本語だったら「八」)

 はぁ?

 …八するって何だよー!

 まあ正解を知っていればこれでも通じるんでしょうが、どこへ行って何をすべきか分からない状態では、まるで40度の熱を出している酔っ払いのたわ言としか思えません。キバ返せ。
 (聖剣伝説を知らない方にご説明いたしますと、二本のやしの木の周りを「8」の字を描くように廻る、というのが正解です。因みに日本語ではモンスターの牙と交換に聞かされるヒントは「やしの木…8の字…」となってます。これなら分かり易いんですが)
 それから一週間、そうでなくともへっぽこゲーマーな菜之花に哀れにも運命を握られているこの英雄は、砂漠で木を八回切ってみたり、木に向かって八回あらゆる魔法を唱えようとしてみたり、果てには町から八回立て続けに木のあるところまで往復させられたりして、その間、動かしている菜之花自身が踏んだ地団太はとても八回に留まらなかったのでした。

 思えばエンディングよりもその無駄な努力の方が悲劇と呼ばれるに値したかもしれない…。
 
 というわけで、これ以上ゲーム界の英雄たちを酷使するよりは、レトロゲーマーと言われてもいいから、安全な日本語ソフトで遊ぼうと決心した菜之花でございました。


 (余談ですが、最近の翻訳の中には素晴らしいものもあったり。GBAファイアーエムブレムの「烈火の剣」、これなどは名訳でしたねー。元の日本語よりも更に「西洋の中世」を感じさせてくれるような感動的なものでした。聖剣伝説の方はGBAのリメイクをまだプレイしていないのですが、こちらはどうだったんでしょうね)