1. 結論

「ナッツは避けるべき」とは限りません|86件の試験で見る体重への影響

おやつ売り場でナッツを手に取っても、裏面の脂質を見て棚に戻してしまう。体重が気になると、そんな選び方をすることもありますよね。

でも、脂質が多いという理由だけで、ダイエット中のナッツを避ける必要があるとは言えません。今回紹介する研究では、ナッツを食事に取り入れた人の体重が、比較相手より明確に増える結果は見られませんでした。

これは「好きなだけ食べて大丈夫」というお墨付きではありません。ナッツを食べたことだけで、今日の食事を失敗と決めつけなくてもよさそう、というお話です。

2. ナッツの脂質とカロリー

「ナッツは避けるべき」とは限りません|86件の試験で見る体重への影響

アーモンドやくるみなどのナッツは、脂質を多く含み、少量でもエネルギーをとれる食品です。「カロリーが低いから体重に響かない」と説明できるわけではありません。

一方で、ナッツには不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質のほか、たんぱく質や食物繊維も含まれます。成分表示の脂質の欄だけでは、食品としての特徴をすべて読み取ることはできません。

論文では、満腹感を得やすいことや、ナッツの細胞の構造によって脂質の一部が消化・吸収されにくいことが、結果の背景として考えられています。ただし、今回の分析で、その仕組みがすべて確かめられたわけではありません。

そこで知りたいのは、カロリーの数字からの予想だけでなく、実際に食べた人の体重がどうなったかです。

3. 研究で確かめた、ナッツと体重の関係

「ナッツは避けるべき」とは限りません|86件の試験で見る体重への影響

取り上げるのは、Nishiさんらが2021年に発表した、複数の研究を集めて結果をまとめた論文です。詳しくは原典論文の抄録(PubMed)で確認できます。

レビュー全体には、普段の食生活とその後の変化を追った6研究・7つの集団、569,910人のデータが含まれます。また、食事を無作為に割り当てて比べる試験は86件、114比較、5,873人でした。このふたつは調べ方が違うため、分けて読みます。

まず、食生活を追った研究では、ナッツの摂取量が多い群は少ない群より、過体重・肥満になるリスクが低い関連がありました。相対リスクは0.93、推定の幅を示す95%信頼区間は0.88〜0.98です。根拠の確実性は「中」と評価されています。

ただし、これは日常生活を観察した結果です。ほかの食習慣などの影響も考えられるので、ナッツだけが理由で予防できたとは言えません。

次に、食事を割り当てた試験をまとめると、ナッツを取り入れた群と比較相手との体重差は平均0.09kgでした。95%信頼区間は−0.09〜0.27kgで、差がない場合も含まれます。つまり、ナッツによる明確な体重増加は認められなかった、という結果です。この体重の結果について、根拠の確実性は「高」と評価されています。

平均の差が小さかったことは、全員の体重が同じように動いたという意味ではありません。試験ごとに食べた量や期間、比較した食事も異なります。

摂取量と結果の関係を調べた追加の分析では、量が多いほど体重や体脂肪が減る方向の関連も見られました。ただ、これを「増やすほど痩せる」という食べ方の指示に読み替えることはできません。

4. まとめ

「ナッツは避けるべき」とは限りません|86件の試験で見る体重への影響

ナッツの脂質の多さだけを見て、ダイエット中のおやつ候補から外す必要はなさそうです。今回の研究は、ナッツを食事に取り入れることへの心配を和らげる材料になります。

実際に食べるなら、袋から際限なくつまむより、食べる分を小皿に出しておくのも一案です。いつものおやつに追加するのか、一部を入れ替えるのかも意識すると、食事全体を考えやすくなります。これは食べ過ぎを避けるための一般的な工夫で、この論文が効果を証明した方法ではありません。

「研究に出てきた食品だから」と無理に増やす必要はありません。アレルギーのある方は、原因となるナッツを避けてください。好きな食品を楽しみながら、量にも目を向ける。そんな付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。


この記事の監修
井上トレーナー(fis.lady's 江坂店)
NSCA-CPT(全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)/臨床栄養医学指導士/高等学校教員免許(保健体育)

井上トレーナー

監修者の所属店舗:fis.lady's 江坂店

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