私の1番
〜My number one〜
『これが私の1番なの』
彼女はそう言って瞳をキラキラさせながら
楽器をみせてくれた
篳篥(ひちりき)とは・・・
漆を塗った竹の縦笛で、
表側に7つ、裏側に2つの孔(あな)がある。
主旋律を奏することが多く、
小さい楽器にしては音量も大きいけれど、
音域は1オクターブ程度しかない。
葦を潰して作ったリードを用い、
演奏前にはリードをお茶に湿らせて
吹きやすいように調整する。
彼女は週一の教室に通いながら
暇あれば
近くの川へ歩いて山へ
時にはカラオケボックスへ
練習するのが
楽しくて楽しくてたまらないらしい
ご主人になられた彼の影響ではじめ
(彼は笙を)
今は
彼女の方が夢中になっているとか
考えてみれば
私には
私の1番
と
大きな声で言えるもの
今
無いなぁ〜なんて想った
小さな声で言えるものは
いっぱいあるけどね