「あー、すみませんfirstputtです。渋滞にハマっちゃって、スタートに間に合いません」
非常事態宣言が出てから外出もままならない四月の朝。
ひとり予約で、馴染みの牧野パークに向かう車からの電話である。
車で1時間もかからないのであるが、公共交通機関を避けているのか、交通量がいつもより格段に多い。
スタートに間に合わないと踏んで、ゴルフ場に連絡した。
エントリーした組は予定通りスタートしてもらって、2番か3番辺りで合流すると提案するための架電である。
電話に出た相手が馴染みのスタッフさんで、快く了解をいただき、「安全運転でいらして下さい」との言葉も貰い、ゆっくりハンドルを握った。
スタートから5分遅れでクラブハウスに滑り込み、チェックインを済ませた。
フロントは、客とスタッフとの濃厚接触を防ぐためにビニールシートで仕切られており、いくらかの距離感を感じざるを得ないが、馴染みのスタッフさん達は笑顔で迎えてくれている。
レストランやお風呂も使えるようにはしているが、基本はスループレイとし、濃厚接触対策を施した営業としていた。
スタート室に向かい、遅刻を詫びてスタートの準備をしていると、エントリーした組に合流するのも良いが、よければ一人で回りませんか?と、提案を受けた。
前も後ろもいないので、好きに回って下さいとのこと。
青い空のなか、心地いい日差しに迎えられて、10番ホールに向かう。
コロナ禍でなければ、ゴルフ場にはたくさんの人であふれていたのだろうが、コースにはコース管理のスタッフさんの方が多い。
さて、ひとりで廻るとしても、そのまま廻るのも芸がない。
なにかテーマがないものかと思案しながらティグランドに向かう。
175ヤードで右のグリーン。
キャディバックから4Uを抜く。
ポケットにはいつものように白いボールとオレンジのボール。
同伴競技者の使用ボールを観てから、白かオレンジを決める。が、今日はひとりなので、どちらでもよい。
白いボールをチョイスして、ティアップする。
(4Uでは少し大きいか?5Iを置いてきたので、下の番手は6Iとなるが、6では届かない。やはり、4Uでいい。)
素振りもそこそこに、スタートホールにありがちなせっかちな手打ちにならないように、ゆっくり大きなスイングをイメージする。
テークバックからトップに振りかぶる。
ここで打ち急がずに、ヘッドが自然に降りてくるのを待つ。
ヘッドがククッと降りてきたのを手首で感じとったところで、腰を切っていく。
インパクトを迎えフォローは低く打ち出すイメージで振りぬく。
白いボールは、やや左目からドロー回転でグリーンに向かっていく。
(少し大きいか?)
しかし、ピンの左奥3メートルの地点に着弾。
うまく、乗せれて、満足げにティグランドのショートティを拾い上げる。
クラブをキャディバックに戻し、手引きカートを進めようとした。
(ん?大きいと感じた4Uでナイスオン。じゃ、6Iならやっぱり届かなかったのか?)
(試してみるか?)
キャディバックから6番アイアンを抜き、オレンジボールをティアップする。
届かないのはずなので、寄せやすいグリーン左手前あたりに落とすイメージで振りぬいた。
先の4U同様に左からドロー回転で打ち出された。
アイアンであるため、4Uより掴まり感が強く、ドローがより強調された弾道となった。
オレンジボールはピンの右手前3メートルあたりにオン。
(あれ、6Iでも届いちゃった。どうなってんの?)
筆者のレベルでは、距離を打ち分ける精度はこんなもんなんだろう。
打ってみなくちゃ判んない、ってことか。
てな、感じでひとりラウンドのはじまりはじまり・・・・。