秋の日差しは、フェアウェイの緑を優しく照らしている。

フェアウェイには、白いボールが3個。
はじめてご一緒したのに、楽しくラウンドしていることを表しているかのように仲良く並んでいる。

アドレスするとスタンスにかかるほどの親密な距離に並んでいるのでB氏が声をかける。
「左端のボールから打ちましょうか」
なるほど、こうすれば 、スタンスにかかることはなくなる。

こういうときのレフティは、無粋なことを言わざるを得なくなる。
「あ、あの、ギッチョなので」
となると、B氏も気がつかなかったことを詫びなければならず、なんだか申し訳ない気持ちで一杯になる。

すかさず、A氏が「firstputtさんからですね。グリーン左にあごの高いバンカーがあるので、気をつけてね」などと、話題を変えてくれる。
ありがたいことである。

そんなやりとりをしつつ、午前のハーフが終わる。

知らない人と初めて周り、緊張著しい中にあってハーフ42で上がった。

かさぎゴルフ倶楽部でのベストハーフである。

仲間うちのゴルフとは異なり、引き締まったラウンドとなった。
これはこれで、面白いゴルフである。
チョイとはまりそうな予感を感じた。

午前のラウンド中に、妙な空気というか雰囲気というか、違和感を感じた。

それが何かを探る余裕もなく、ホールが進んでいく。

あるホールのティグランド。
前の組との間隔が詰まり、待たされることになった。

カートに腰掛けているA氏と語らっていると、B氏の気配が消えている。

いないのかと、視線をカートの後方、並んで積まれているキャディバッグに向けると、確かにB氏はいる。
自分のクラブをブラッシングし、手入れをしていた。

3ホール辺りから、カートのハンドルを握りはじめ、いつしか、カートの運転はB氏が行うことになり、それが自然となっていった。

発車前には、「動きます」とか「行きます」とか、必ず声をかけて出発し、ボールの位置までスムーズに運転されている。

グリーンに上がると、丁寧にボールマークを直し、ピンを持つなど、積極的にラウンドを進めている。

これらの立ち居振る舞いに、ある考察が成り立った。

同じくしてA氏も同感だったようで、氏が尋ねた。

「どこかでキャディさんをなさってたのですか?」

B氏は、はにかみながら、
「は、はい、○○カントリー倶楽部でキャディを昔やってました」

○○カントリー倶楽部。
名門コースである。筆者が訪れることのないコースである。

取り繕うように、「でも、グリーンは読めませんよ」とあわてて予防線をはる。

なるほど。
立ち居振る舞いがキャディさんのそれであったのである。

居るようで居ない。
この空気感を出せるのはキャディさんだけである。

ホールは進み、最終ホール。
416ヤードのミドルホール。
アゲインストのため、ティーショットの当たりはよかったが、距離は出なかった。
幸いフェアウェイから打てるので、スプーンを抜き、グリーンを狙う。

会心の当たりであったが、ここでも風に負け、ガードバンカーに捉まった。

残りの2人は、レイアップし3オン狙い。
女子と年配者ですので、これが精一杯といったところである。

バンカーには白い砂が敷き詰められている。深くえぐれているのでグリーン面は見えず、ピンフラッグがかろうじて見える。

ピンフラッグを見ながら、バンカーショットのイメージを膨らませていく。

ドスン!

A氏が3打目をピンに絡めてきた。

ドスン!

今度は、B氏が同じく絡めてきた。

お二人とも見事なものである。

さて、筆者。
あごは高く、距離も30ヤード出さなくてはならなく、筆者の技術では難易度は高い。

フェースを開き、高さを出していくが、距離を出すために薄めに強くのインパクトをイメージして打った。

見事、ピンに絡めることができ、3人ともナイスパーで終われることになった。

互いにナイスパーを称えて、ホールアウトした。

なんともいえない、心地いい緊張感のなか、42.44の87。このコースでのベストで廻れた。

ひとり予約。
しばらく、はまることとなるキッカケとなったラウンドとなった。