暖かい日差しを受けて、心地よい風が抜けていく。ゴールデンウィークも明けた土曜日の昼下がり。
120ヤードの人工芝をPWで狙う。
いつもの練習場の二階打席。
向かいの打席は空いたままとなっているため、快適に、集中して打ち込める。
アイアンを買い替えた頃であったため、距離の確認を行っていた。

向かいの打席の向こうには、おばさま二人が仲良く並んで、おしゃべりとともに練習に励んでいる。

おばさまといっても、多分、年下なのだろう。昔、社員食堂で「お母ちゃん、天そばやってぇなぁ」と親しみを込めて注文したら「こんな大きい子はおらんわ」と突っ込まれた。
女性を表現するのは難しい。

さて、この二人組み。そろそろ打ち終わる段となったが、先に終わったひとりが1カゴだけボールを追加購入して、筆者の向かいの打席にやってきた。

(ん?なになに?何する気?)

なんのためらいもなくボール供給機にボールをゴロゴロと転がし入れた。

(え?ここで打つの?)

戸惑う筆者に構うことなく、ご婦人はアイアンを2〜3回素振りをすると打ち始めた。

何番で打っているのかはわからないが、120ヤードのグリーンを狙っている。

(な、なんで、他の打席からわざわざ移ってくるの?)

ご婦人の行動の狙いが判らずに、筆者の練習は集中を欠いたものとなっていった。

向かい合わせとなることに、忌み嫌われることはあっても、知り合いでもないのに、わざわざ向かい合わせとなることを望まれる方はいらっしゃらない。

狙いは解らないものの、いつものようにスウィングリズムが同期しないように配慮しながら打っていく。

ご婦人のスウィングは、インパクトで左肘が引ける癖があるようで、とても流麗とは言えないものの、腕前はなかなかのもので、120ヤードのグリーンにボールを集めている。

(はやい。え、もう打つの)

スウィングリズムがとても早い。
早く打ち終わって、この場を立ち去りたい。そう言っているようである。

(益々、解らない)

もう、気になって気になって、筆者の練習はグタグタである。

9番で140ヤードのグリーンを狙う。
これまでRのカーボンシャフトを使っていたが、力みが出たときに引っ掛けることがよくあった。[乗せたい]との想いが下半身の動きを止めて、腰をきり切らない状態で、インパクトを迎え、手首が返る。グリーンに乗せるショットで右に引っ掛けてOBとなる、悔やまれることがよくあった。
思い切って硬いシャフトを使ってみた。
Sのスチール、しかもUSモデル。

引っ掛けることはなくなったが、距離を自分のものにするのに量を打たなければならない。この日も文字通り打ち込んでいた。

向かいのご婦人。
ボールを打ち尽くし、元の打席に戻るときに、一緒にきていたお友達に

「えーメンタルトレーニングになったわ」と舌をペロリと出した。

あたしゃ、肝試しのオバケかいな。

参りました。