現状の株式相場は、様々な外部要因の中でも為替の動向にもっとも影響を受けていると考えられます。
したがって、為替の動きを予想することが今後の株式市場を予測する上で非常に重要になってきます。
6月になりバーナンキ米FRB議長がドル安に対する懸念を表明したことに続き、ポールソン米財務相も為替介入に対して「検討の対象から排除しない」と語り、為替介入によるドル防衛策を示唆しました。この動きに反応して、ドルが強まる動きとなってきています。
円については、3月につけた「1ドル95円」の円高水準から、直近「108円」の円安水準まで大きく振れました。その間、株式市場は底堅い動きを見せ「3/17の安値、11691.00円」から「6/6の高値14601.27円」まで上昇しました。
しかしながら、この動きだけで 「ドル高相場」 へ転換したと判断するのは早計であると考えております。
一旦はこれら要人による「口先介入」に敬意を表した形で市場は反応したものの、今後の米国政府の動向や、景気指標によってどのように動くか予断を許しません。
ただ今回はっきりしたことは、、これまでサブプライム問題に端を発した景気後退懸念をもっとも重要視してきた米国政府が、今度はドル安による原油価格の高騰や穀物高によるインフレに対する懸念に軸足を移したということです。
すなわち、現状ではドルが下落すればするほど、その代替的存在である原油価格が高騰し、世界中にインフレ症状が連鎖してしまうことから、米国政府を挙げてドル安の進行を食い止める必要性があるわけです。
先般発表された08年5月の消費者物価上昇率(対前年同月比)は、日本だけ1%弱にとどまりましたが、世界を見渡すと
●中国では8%弱 ●インドは8%強 ●米国では4%強 ●ユーロ圏も4%弱
に達し、ひとつのインフレ目安である2%水準をはるかに超える状態となっております。
こういった背景を考えますと、実際にはそう簡単に為替介入は出来ないと思われます。なぜなら、ドル買い介入によるドルの押し上げは、結局のところ、元やユーロなど他国の通貨安をもたらし、輸入物価を引き上げてしまうからです。
つまり、ドル通貨国以外のインフレを加速させてしまうことから、国際的な協調ドル買いは難しそうです。したがって、一日3兆ドルにも及ぶ為替取引において、米国単独介入ではその効果は限定的であるといえます。
また、米国の金利引き上げによるドル高誘導策も考えられますが、こちらも難しそうです。
サブプライム問題に端を発した金融不安による住宅価格の下落傾向はまだ止まってはいません。
この状態で政策金利を上げてしまうと、長期金利がさらに上昇し、住宅ローンの返済金額が増え、それに耐えられない保有者が投売りに走るとさらに住宅価格は下がり金融不安を高めることとなります。
したがいまして、大方の市場関係者の予想通り、次回のFOMCでは政策金利は据え置かれると思います。
一方、気になるのが、ヨーロッパ中央銀行の トリシェ総裁 の動きです。
トリシェ総裁は欧州におけるインフレの動きを打ち砕くために、すでに利上げを言明しています。
米国が政策金利を据え置き、ヨーロッパ中央銀行が金利を引き上げるということになると、米欧の金利差はさらに拡大し、投機資金は金利差を求めて一気にドルからユーロへシフトすることが考えられます。
これらの状況から、「ドル安→原油高→インフレ」の構図はそう簡単には変わりそうにありません。
もし、この流れが変わるとするならば、景気の悪化による原油需要の減少、もしくは、少々暴力的かもしれませんが、投機抑制政策を打ち出すほかなさそうです。
このような要因から、今後目先の国内相場を考える場合、
少なくとも為替に影響される銘柄や、米国市場に連動する銘柄はリスクが高い
と言えそうです。