6月中旬以降、原油価格を中心としたエネルギー価格の高騰からくるインフレ懸念
や、世界経済の失速懸念などを背景に、低迷を続ける株式市場。
歴史的な連続安を記録する日経平均。まるで明るさの見えない東京市場をどのように捉えるべきでしょうか。
時を同じくして、証券大手各社や経済研究所の多くが、ここにきて割安銘柄の発
掘に躍起になっています。
PERが○○倍未満、PBR○○倍未満、経常利益上方修正期待銘柄などオーソドックスなものから、
複雑な係数を絡めたものまで、各社の視点は様々ですが、ピックアップされてくる銘柄の顔ぶれはあまり変わっていないよう
です。
ただ、それらの銘柄群を見ると、やはり割安株には割安になるそれなりの理由があることがわかります。
それらの多くの銘柄が、減収減益予想であり、しかもクイックコンセンサスなど見ると、09年、10年と2期連続して減益傾向のものが多いこ
とに気がつきます。
このことから、具体的にそれらの銘柄群を参考にはするものの、「これを買おう」という気持ちにはなりません。
おそらく多くの投資家が私と同じ気持ちなので、割安に放置されているということなのでしょう。
しかし、各社がくりなす割安銘柄の中で、一銘柄だけ目を引くものがあります。
それは「NTT」です。
「なんで今、NTTなの」多くの声が聞こえてきそうです。
しかし、NTTは、もはや単なる電話通信会社ではありません。
先日、機会があって、幕張メッセで開催されました「Interop Tokyo 2008」と「IMC Tokyo 2008」を見に行きました。
内容は大きく分けて、コンピュータネットワーク関連技術と、メディアコンテンツ関連の展示会でした。
そこで特に大々的に展示されていたのが、「デジタル・サイネージ」という技術です。
NTTを中心にNECや松下電産など国内約70社が協賛するビックプロジェクトです。
たとえば、多くの、身の回りにある看板や、スーパーなどでよく見かける商品表示板を、ネットや無線を通じてパソコンなどで一括管理するシステムです。
すなわち、看板や商品表示板は時間や気温、季節、イベントなどによって管理することができ、いかなるときでも表示内容を変えることができるというものです。
おそらく近い将来、世の中の看板の多くが、この「デジタル・サイネージ」の技術によって、「テレビ化」してくることになるでしょう。
そのときに、重要なポジションとなるのがNTTです。技術開発からメンテナンスまで、NTTなしでは到底運営することは出来ないでしょう。
世の中が大きな通信網で一体化する流れの中で、NTTの役割は
今後ますます大きくなっていくと思われます。
これからの投資スタンスにおいて、ポートフォリオには欠かせない銘柄なので
す。