6/19に書き込みました「相場を読む」の中で、


「もし、この流れが変わるとするならば、景気の悪化による原油需要の減少、もしくは少々暴力的かもしれませんが、投機抑制政策を打ち出すほかなさそうです。」



と書かせていただきました。


現状の株式市場の動きは、そのころとほとんど変わらず、依然として
為替や原油価格の動向に最も反応する動きが続いています。


ところが、ここにきてそれらを取り巻く環境、および価格の動きに変化が
現れ始めました。



原油価格の指標となりますWTI原油先物価格は、7/11に
1バレル147.27ドルの史上最高値をつけた後、下落基調が強まり、
わずか2週間足らずで122ドル台まで下落しました。



この間の下落幅はなんと17%にも上ります。まだこの時点では原油価格の
下降トレンド入りを確定するには早計と思われますが、その背景は
これまでと違った要素が入り混じっていることは見逃せません。



その代表的なものが、原油投機に対する規制です。

アメリカの下院議会では製油所建設などの実需以外の需要家、すなわち
ヘッジファンドや商品ファンドなど投機筋の原油先物の持ち高を制限する
法案が審議され、近く採択される方向です。



このような規制法案が、金融自由主義のアメリカで採決されると
いうことはまさに異例であり、ことの深刻さを物語っています。

これらの動きは、すぐに効果があるかどうかは別として、少なくとも
投機筋に与える心理的影響は大きそうです。



そしてもう一つ重要なことは「景気後退による原油需要の減退」です。

これまで、「ドルの下落→原油価格の上昇」といった負のスパイダルに
よって、あたかも原油価格は無限に上昇するかのような錯覚をおぼえ、
その恐怖心が株式投資から資金を遠ざけていました。



しかし、その幻想は「世界景気のエンジン」であるアメリカの
景気後退によって、原油需要の落ち込みが現実な物となり、その限界に
気づくこととなりました。



これまでのような、ドルの下落に伴って原油を自動的に買うといった
投資手法は、もはや通用しなくなります。



それを証明するように、すでに08年上期のアメリカの石油需要は
減少に転じています。



また、最大の需要国である中国も、北京五輪終了後の景気減速は
免れず、こちらの原油需要も減退することが予想されます。



まもなく訪れるであろう原油バブルの崩壊が、株式市場への適正な
資金配分を復活させることとなりそうです。



ここからの原油価格の動向には注目していきたいと思います。



最後に、あまり好きな言葉ではありませんが、一言述べさせてください。



夜明け前が一番暗い」。


以上