時間がなくてえいやで書いたはんべ。前回のバトンです。続きを書いてみましょうか。

3:「もういらないよ。ご馳走さま」
半兵衛さん全然食べてないのに……。
「食事をする時間も惜しいんだ。少し仕事を片付けたらまた食べるよ」
あっという間に食事を終わらせた半兵衛。忙しそうに去っていきます。
何かに追い立てられるように仕事をする半兵衛に、後で差し入れを持って行ってあげましょう。

→はんべで。でも、はんべのお嫁さんにはなりたくないなぁ。きっと寂しくなっちゃうもんな。

⇒はんべかなあ。これは現代物ではなくてトリップヒロインでひとつ。
「もういらないよ。ご馳走さま」
「半兵衛さん全然食べてないのに……」
「食事をする時間も惜しいんだ。少し仕事を片付けたらまた食べるよ」
あっという間に食事を終わらせた半兵衛さんは忙しそうに去って行ってしまった。
残されたのは、食事がほとんど残っている膳と私だけ。
彼に残された時間が少ないのは知っている。だから彼はそれまでに出来る限りの事をしたいのだという事も知ってる。

「後で、差し入れを持っていこう…」
そう言いながら煮物を一人で食べる。
「…味しないや」
ため息がこぼれて消えた。


「〇〇の様子がおかしい?」
侍女からの報告に眉をひそめる。
「最近はお食事もあまり取られません」
なるべく彼女と食事を取るように心がけてはいたけれど、忙しくなり一人で食事をさせる事が増えてしまった。そのせいだろうか。しかし、自分の所に差し入れは欠かさず持ってきてくれているのに。
「…全く、彼女は何を考えているんだ」
つい、文句が唇からこぼれた。
時間がないのだ。煩わされたくない。
一言言ってやらなくては。
彼女のいる部屋に行く。戸を開けると彼女が座っていた。僕の顔を見ると瞬間ぱあっと輝かせかけたが、表情を見て固まっている。
「君は一体何を考えてるんだ!」
「…な、何が?」
「ろくに食事も取らないそうじゃないか!君はあれかい?そうやって最近放っておいた僕の気を引きたいのかい?」
やつれて頬のこけた顔を見ると益々苛々がつのる。
「ちが・・そんなんじゃ」
「じゃあ、どうしてだっ!」
あの時の僕はどうかしていたんだと思う。時間がない、それが僕を本当に焦らせていた。
そうでなければ、あんな事を言う筈がなかった。

「豊臣に弱者はいらない。君も身の振り方を考えておいたほうがいい」
青ざめる彼女。嫌だ、この表情は見ていたくない。
「あ・・・ごめ・「それじゃ、僕は秀吉の所へ行くから」」
きびすを返し部屋を出る。

彼女の最後の呟き

「一人で食べても味がしないんだよ」という呟きを聞くこともないまま。




「半兵衛さんを怒らせちゃった…」

-豊臣に弱者はいらない。君も身の振り方を考えておいたほうがいい-

「邪魔だからいらない・・・って事だよね」
彼の言葉が、頭の中で何度も何度も繰り返し響く。

どうしよう、ここを出て行ってもあてなんかない。この世界に飛ばされてきた私に頼れる人間などいないのだ。

「邪魔だもんね。もう、いいかな」

-死んだら元の世界に戻れるかな?-

立ち上がり、ふらふらと窓に近づく。ここは天守閣。一番高い場所。

私は天守閣の手すりから身を乗り出した。
「〇〇様っ」
侍女の人の悲鳴を背後に聞きながら。そこで私の意識は途切れる。



「〇〇が身投げしただって!」
「申し訳ございません」
頭を床にすりつけまま泣きじゃくる侍女。頭を何がで殴られたような衝撃が起きる。
「邪魔だもんね、もういいかなと呟かれた後、窓に近づかれたのです。そしたら急にっ」
「そう・・か」
冷静に対処せねばならない。僕には時間がないのだ。そう思うのだけれど侍女の言葉がなかなかしみこんでこない。
「…それで彼女は、今どこに?」
暗に遺体の場所はどこだ?とたずねると
「そ、それが・・・・」
目を伏せ答えない侍女。
「何処にいるんだい?」
「見つかりません?」
「見つからない?そんな訳」
飛び降りた後、数秒して慌てて追いかけて覗いたが、消えていたというのだ。
「そんな馬鹿な、探したのか?」
「いらっしゃらないのです」
また泣き続ける侍女。
「君のせいじゃない・・とはいえないが。…田舎に帰りたまえ」
侍女をすておき、歩き出す。何だか頭が覚束ない。

思い出されてくるのは、いつも嬉しそうに自分に話しかけてきてくれた彼女の笑顔。

-半兵衛さん-
-お仕事大変なのはわかりますけどご飯食べてくださいね-
-少しでも睡眠取った方が体力回復しますよ-
-半兵衛さん、半兵衛さん-

いつも僕の心配ばかりしていた。


その時、自分の言葉がよみがえる

-豊臣に弱者はいらない-

「あ」

-君も身の振り方を考えておいたほうがいい-

-邪魔だもんね、もういいかなと呟かれた後…-

「…僕のせいか」

握り締めた拳から血が流れるのを見て、自分にもこんな感情が残っていたのかと笑った。



※助けたのが佐助の場合。

最初はほんの好奇心からだった。それと偶然。
軍師竹中半兵衛に女の影?なんて報告を部下から受けて。何か今後展開いかんによっては使えるんじゃないかと思い情報収集に忍び込んだのが最初。

その子は、ごく普通の女の子だった。
噂では月詠をして全てを見通しているとか、病気の死に掛かってるいる子を助けた、とか色々な噂が流れていたけれど。全くそんな様子もない本当に普通の子。戦いも出来なさそうだし、常識って物を知らなさそう事もあったし(だって文字が読めないって悩んでたりしてたよ)

何だ噂だけか、と調べるのをやめようかと思ったある日。

事件は起きた。

彼女と竹中半兵衛が領地内を視察に出かけた時の事(彼女の気分転換もあったんだろうね)
領民が皆で騒いでいる。どうやら子供が沼でおぼれたらしい。どうにかひき上げたけれど、意識はなくて呼吸も止まっちゃってる。なすすべもなく皆が泣いている。母親なんかわんわんすがりついて泣いちゃっててさ。

どうするのかと思ったら、その彼女いきなり子供に近づいて。
「どいてください」
「何をするつもりだい、〇〇」
「やれるだけの事はやらないと。この子は溺れて間もないですか?」
そう言いながら子供の顎をあげ、額をさげるようにしている・・・何するつもりだ?
「人工呼吸します。私のする事を邪魔しないでください」
そう言いながらいきなり子供に口付けて息を吹き込んだ。
周りの領民は驚いて何事かと見守るだけ。
「死なないで。お母さんが待ってるよ」
そう言いながら今度は両手で子供の胸を押し始めた。結構な勢いで。
すがろうとする母親に「離れて」と一喝までして。あの子は何をしたいんだろう。
「お願い、生き返って。目を覚まして」
そうしてかなりの勢いで胸を押していたら

「かはっ」
子供が水を吐いて息を吹き返したんだ。

「〇〇っ」
母親は号泣して子供を抱きしめているし。竹中半兵衛は放心して彼女を見ているし。領民は天女さまが助けてくださったと大喜びしているし。

その時聞いてしまった、竹中半兵衛の言葉で俺様は知ったんだ。
「その知識も…君の生きていた時代には当たり前のものかい?」
「はい」
「城に戻ったら詳しく聞かせてくれないか?」
「…私の知っている事でよければ」

この世の人でない事を。とても寂しそうに笑う彼女はすぐにでも消えてしまいそうだった。
そして何より子供の命を助けた。この知識を当たり前に持ちえてる彼女は何者なんだ?

そしてまた観察の日々が続いた。情報が集まるにつれて解ってきた事。

彼女はある日空から降ってきた。領民の間では天女さまだと噂で持ちきりだった。
それを聞きつけた竹中半兵衛が彼女を保護した。(幽閉みたいなもんだよ)
たまに竹中半兵衛に請われて、知識を授ける以外は普通の子だった。
争いごとも好んでいない。寧ろ嫌ってる風でもあった。
竹中半兵衛がいくら熱く理想を語っても彼女はちっとも変わらなかった。
ただ、竹中半兵衛を心配している風はあったけれど。だから豊臣秀吉とはほとんど会っていなかったんじゃないかと思う。今の時代の勢力図とかも全く知らないようだった。

あれ、この子連れて帰ったり出来たら武田にとってプラスになるんじゃない?

そう考えた矢先。彼女は空から(いや天守閣の手すりを乗り越えて)俺様の手元に降ってきた。
死ぬつもりだったのか?それならばその命、預かろうじゃないの。連れ帰って必要なければすておけばいい。
こんなラッキーな事はない。そのまま城を離れる。腕の中の彼女は意識を失いぐったりとしたままだ。
「・・・しっかし、この子こんなに軽かったんだ」


そうして武田軍にごやっかいになる事になります。ヒロイン元々勢力図とか何も知らないし、竹中半兵衛に知識を授けていたのも一宿一飯の恩義を感じてですので、はんべに「いらない」と言われた今、義理立てする理由がないのです。武田にお世話になる事に。行くあてもありません。

連れて帰られ、看病されます。そして何だかんだと回復してからお館様と対峙。

ヒロインは自分の知識がこの世界ではかなり有効なのは、理解しています。なのでそれが理由で連れてこられたんだろう、と思っている訳です(佐助はそのつもりでしたけどね)

「ワシの所で過ごすとよい」
「・・・いいのですか?」
「構わぬ。ただ、ひとつだけ願いがあるのだが」

-きっと、半兵衛さんの所にいた時、調べられてるんだろうなあ。それなら知識を教えればいいんだろうか?-

「はい・・・私がこたえられ「ワシの所にな、真田幸村という男がおってな」」
話をさえぎられて始まった話は私の予想とは全く違ったもので。
「はあ・・・」
「武勇に関しては、いささか猪突猛進な所はあるものの、見所のある武士だとワシは思っておる。しかし…如何せん女子に対しての免疫がなくてな」
「あの・・・仰られてる意味が・・・」
「幸村の話し相手になってはもらえぬか?」
「話し相手…ですか?」
「ああ、この躑躅ヶ咲ではなく上田城で、幸村と共に過ごしてくれまいか?勿論あやつが城におる時だけで構わぬ。女子になれさせる為に、一緒に団子でも食うてはくれまいか?ワシを助けると思って」
「…それだけで」
「うぬ?」
「それだけでいいのですか?」
「それだけ、とは?」
「他に何かしなくても良いのですか?」
私の必死な視線を感じてくれたのか、お館様・・といわれているこの人-武田信玄公は
「…〇〇殿が持っておる知識は確かに魅力的では・・ある。だが」
「・・・・・」
「故に大切にするが良い。お主の武器とも宝ともなりえるでな」

そなたの知識、確かにそれは武田にとって有益であろう。しかしそんな事を抜きにしても、身を投げた女子一人助けられなくて何が武士ぞ。

信玄公の声が響き渡る。

「おぬしは何の心配をする事もない。ここにおれ」
「あちゃー」

私を連れてきた・・と言っていた忍びの人が頭に手をあてて嘆いている。きっと狙い通りにはいかなかったんだろう。やっぱり私ここでもいらない・・のかな?

「ここにおれ」
余計な事を考えてしまっていたのを見透かしたのか、信玄公はまた言ってくれた。
「はい・・・よろしくお願いいたします」
私は顔を被い泣いていた。必要とされた事が嬉しかったのだ。


そしてゆっきーと共に過ごすようになります。ヒロイン言わなくても良い、と言われたものの風邪が流行れば予防策を、救護の知識を、はては小さな家事の技まで色々教えていくのです。

最初は話しかけただけで後づさっていたゆっきーも、ヒロインのおっとりした感じに癒されて普通に話せるようになっていればいいと思う。
「〇〇殿、〇〇殿のいた世界の話をしてはくださらぬか?」
「はい、いいですよ」
幸村さんは、よく私のいた世界のことを話してくれとせがんでくれた。
「そうですね・・・私がここの世界の人間ではない証拠を今日は見せますね」

そう言いながら首からさげていたロケットを取り出す。これだけは身に着けていたので城から持ち出せたのだ。身投げした時は死ぬつもりだったので、何ももって行くつもりもなかったし。

「これは・・・なんでござろうか?」
「これはロケットと言って、大切な人の写真などを入れて身に着けておくものです」
そう言いながらロケットを開く。

※中には家族との写真でも入っていればいい。それが知識を授ける内にどんどん自分の画像だけ薄れていってしまえばいい。最後にはぽっかり空間だけになっちゃえばいい。それを見て泣いているヒロインに「某がどこまでも一緒におりましょうぞ!!」とか言われてしまえばいい。