こんにちは、菊池です。
「筋肉の記憶」はこの「錯覚」について。
以前の記憶は「経験を活かす」という事でした(筋肉の記憶①)
今回は残念ながら「経験が邪魔をする」というお話です。
私は昔、スノーボードのトレーニング中に大怪我をした事があります。
でも実際病院に行ったら右肩関節が亜脱臼していて腕に痙攣が残った状態で、その怪我の方が酷かったわけですが、顔の怪我に気を取られ、診断されるまで腕の違和感には全く気が付きませんでした。
冒頭の絵にしても「痛み」に関してもこのような「思い込み」「決めつけ」があります。
血=痛い のような連想が筋肉への信号にもあって、
動く=痛い と勝手に痛みの信号が送られる場合があるのです。
実際損傷していないのに、なぜか痛い。
例えばギックリ腰。ギックリ腰は急激に加えられた負荷によっての筋肉の緊張です。
腰って「カラダの要」でもあるので痛いと全身が痛く感じますよね、でもそのほとんどは原因不明の診断をされている事を知ってますか?
診断では「加齢」「ヘルニアなどが悪さしている」と伝えられることが多いですが、私が感じるのは全身が痛いから痛みから逃れるために全身を緊張させることによる痛みの発症と連鎖。
言えば「痛みの恐怖の記憶からくる痛み」です。
こうしたら痛い、動かしたら、お辞儀したら、
腰を反ったら、捻ったら、
足あげたら、下げたら、
経験した痛みの恐怖によって殆どの方がする作業は「痛み探し」ではないでしょうか?
以前、私は整形外科と併設したトレーニングジムでトレーナーをさせて頂いていた時、十数年前に発症した「リウマチ」の後遺症で腕が上がらない60代のお客様。
目標は上がらなくなった肩を上げたい。
十数年間出来るだけ肩を動かさず生活されていたので、もちろん筋肉は萎縮していました。
それよりも気になったのはその方の恐怖心です。腕を上下に動かすたびに肩をすくめます。
痛くないであろう角度での上下さえまずは力むことから始めます。
そこで私がした事は、出来る事探しです。
筋膜を緩めながら動かす範囲を広げ、そして力を抜く事を指導しました。
ただ、長年の痛みはなかなかその方の心を緩めてはくれず、自信を持ってもらうチャレンジをしてもらいました。
バランスボールに座る、ストレッチポールで手足を地面から離す、バランスドームの上に立つ、少しずつ出来る喜びを知ってもらいます。
そして第一に腕とは関係なく骨盤の位置を変える腹筋運動で姿勢改善を中心に少しずつ関節をそろえていきました。
たくさんのことができると姿勢が改善され、前より歩行スピードなどが上がると自信がつき
「ちゃんと今日も痛いところは緩めてますし、筋肉も動いてます。もうできますよ!怖がらなくて大丈夫です。」
お客様は痛みを忘れてくれました。
こうやって痛みの記憶は脳を通じて筋肉に錯覚の信号を出すことによるものも多く、この動きは痛い!と決めつけている事も少なくないんです。
特に慢性の痛みの改善によくあるこの「脳の勘違い痛」昔の症状が長く続く方、ギックリ腰や四十肩五十肩が長引く方によくあります。
もちろん整形外科で診察してもらってからの話にはなりますが、薬や湿布を貼っても治らない。どこも悪くないのに痛い。
痛みによってどこかの筋肉を緊張し、本当の原因を隠す事も多いです。
長引く痛みの改善方法も一度トレーナーに聞いてみて損はないかと思います。