東京・新宿・高田馬場のファーストベース行政書士事務所です!
令和4年12月10日に民法の懲戒権に関する規定等の見直しおよび嫡出推定制度の規定が見直されました。
施行は同日から起算して1年6月を超えない範囲で政令で定める日から施行されます。
すでに懲戒権に関する規定は公布日から施行となっています。
今回の記事は、そのなかで懲戒権に関する規定のところです。
懲戒権に関する規定、民法822条が児童虐待を正当化する口実となっているとの指摘があり、見直す動きが出ていました。では変更の内容です。
・822条は削除。
・820条にある必要な監護教育はすることができることを前提として
821条を追加されました。
821条(子の人格の尊重等)
「監護および教育をするにあたっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならないものとする。」
この法律改正によって「児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律上の監護教育に関する規定についても同様の措置を講ずる。」とのことです。
削除された懲戒権については次のような内容でした。
民法第822条
親権を行う者は,第820条の規定による監護及び教育 に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
これが削除されました。また監護および教育の権利について第820条があります。
第820条
親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
平成23年の改正のときに「子の利益のために」という文言が追加されたところです。
子の 監護及び教育に必要な範囲を超える行為は懲戒権の行使に当たらないとされました。
なお、820条は、子が社会的に迷惑をかけたときに責任を親権者に追及する場合にも使われています。
「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」(令和元年法律第46号。以下「令 和元年改正法」という。)により,親権者による体罰の禁止が明文で定められています。
(児童の人格の尊重等)
第十四条 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、児童の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の児童の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
2 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。
親とはいえ、体罰を行ってはならないし、当然ですが、児童虐待に対する子供への犯罪行為の責めをまぬがれることはできないとなっているのです。
以下は長崎県のホームページからの引用です。(黄色は筆者)
「体罰等によらない子育てのために」
- 「しつけ」とは
子どもの才能等等を伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすること等の目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為です。
- 「体罰」とは
しつけのためだと親が思っても、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、又は、不快感を意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し、法律で禁止されています。
今日はこのへんまで。
[この記事の執筆者] 行政書士 山川鬪志 ファーストベース行政書士事務所 代表 専門業務:ビザ(在留資格)申請、帰化申請 保有資格:申請取次行政書士
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