「テレビ朝日開局55周年記念
松本清張二夜連続ドラマスペシャル
昭和の二大未解決事件」の第二夜
昭和史に残る未解決事件のひとつ
“BOACスチュワーデス殺人事件”をモデルとした
松本清張の作品をドラマ化した「黒い福音」を観た。
BOACスチュワーデス殺人事件とは 1959年(昭和34年)
東京杉並区の善福寺川でBOAC航空の日本人女性の絞殺死体が発見された事件で
被害者が敬虔なキリスト教徒であり
誰もがうらやむ国際線スチュワーデスだったことから
マスコミも大々的に取り上げたけど
犯人が特定されないまま公訴時効が成立した未解決事件だったらしい。
被害者の交友関係から
ベルギー人神父が捜査線上に浮かんだものの
弁護人とバチカン大使館一等書記官の立会いのもとで
5回に渡る事情聴取では進展がなく
6月11日、神父は病気療養のため
正規の出国手続を経てベルギーに帰国した。
事件は解決のめどの立たないまま、1974年3月10日公訴時効を迎えた。
「黒い福音」は
そんな難事件を松本清張が独自の推理をまとめた作品で
神父はスチュワーデスの女性を麻薬の運び屋として使っており
そのことが重荷になったため、ホテルの帰りに殺害したというものである。
サレジオ教会は戦後直後には悪い噂もあったため、その説は大変説得力があったのだとか。
敗戦後の混乱期におきた事件で
さらに容疑者が外国人であることや
カソリックの神父であったことが厚い壁となった。
カソリック団体から「神父が罪を犯すはずがない」として
猛烈な圧力を捜査当局にかけたり
またカソリックの信者である某高官から
「取り調べに手心を加えるよう」に申し入れがあったと言われている。
まさに戦後の日本の立場と宗教の厚い壁と
圧力がかかった難事件であったらしい。
番組にのめり込んだ理由の一つが
自分の馴染みのある土地が舞台だと気付いたから。
被害者の死体が見つかった善福寺川は
高円寺に住んでいた当時のマラソンコースで
緑が多くて何故か肌に会う場所だった。
事件の起きた当時を再現された景色を見ながら
馴染みのある杉並区の記憶を呼び起こしたり
番組のテーマとは別の楽しみ方が出来たから。
明治維新以降
アジアを植民地化しくいものにしてきた
欧米列強に負けまいと戦争し続けた日本が
太平洋戦争で大敗を喫した後の事件で
敗戦国としての国際的に不利な立ち位置と
信仰を利用した複雑で不可解な事件に悔しい思いをしてきた
当時の先輩たちの思いを疑似的に感じることができたことが
番組にはまった一番の理由。
たけし演じる引退間近の警視庁捜査一課の刑事ぶりも
若手ではなくベテラン領域に突入した自分にとって
他人事ではなくて自分の未来を想像しながら楽しめた。
『松本清張 黒い福音~国際線スチュワーデス殺人事件~』
2014年1月19日21:00- 23:24 (JST)
テレビ朝日系列『日曜エンターテインメント』
「テレビ朝日開局55周年記念 松本清張二夜連続ドラマスペシャル 昭和の二大未解決事件」
キャスト
藤沢六郎:ビートたけし (警視庁捜査一課の刑事で通称「ロクさん」)
- 市村由孝:瑛太 (高久良署の若手刑事)
- 江原ヤス子:竹内結子 (閉鎖的な生活を送るグリエルモ教会の信徒)
- 木嶋忠夫:北大路欣也 (警視総監)
- 岩瀬厚一郎:國村隼 (警視庁の刑事部長)
- 関田ハナ:市原悦子 (農家の女性でグリエルモ教会の信徒)
- 生田世津子:木村文乃 (航空会社EAALの国際線スチュワーデス)
- 井出伸二:角野卓造 (高久良署捜査一課長)
- 新田和彦:佐野史郎 (警視庁捜査一課長)
- 久恒敏正:池内博之 (警視庁捜査一課の刑事)
- 藤沢陽子:小池栄子 (藤沢の娘)
- 星野佳代子:風吹ジュン (世津子の叔母)
- 小林信夫:川原和久 (高久良署の刑事)
- 斉藤三郎:志賀廣太郎 (警視庁捜査一課係長)
- 加藤善浩:升毅 (グリエルモ教会の弁護士)
- シャルル・トルベック:スティーブ・ワイリー (グリエルモ教会神父。本ドラマではフランス系アメリカ人の設定)
- ルネ・ビリエ:ニコラス・ペタス (バジリオ会・グリエルモ教会主任司祭)
- その他:阿南健治、芦川誠、高橋洋、河西健司、梨本謙次郎、水橋研二、嶋田久作、大鷹明良、大和田美帆、松澤一之、阿知波悟美、寺井文孝、中林大樹、青山勝、梅沢昌代、お宮の松、西沢仁太、平尾仁、大西多摩恵、澤口夏奈子、井上智之、牧村泉三郎、上杉二美 ほか
- ナレーター:伊武雅刀