「元気だった?」
問いかけるあなたの瞳が 綺麗で
見透かされるのが怖くて
ただ ただ 煙草を燻らせた
ばか、元気なわけないじゃん。
あなたに会いたくて 寂しくて しかたなかった
きっと 尻尾が生えてたら
今、この瞬間
全力で ちぎれんばかりに 振っているのだろう
あぁ、 会いたかった―――…
Air ch.2 --素直になれない I want you--
心の叫び でしかないのだけれども
学内の生徒を全員導入させたのではないか?
そう思いたくなるくらい学食は人で溢れかえっていて、
1人で昼食を食べにきた私は、席を探すのでいっぱいいっぱいだった。
手に持った狸うどん。
受け取ったときは熱々で湯気がたっていたのに、
伸びきっちゃったじゃないか。
久しぶりに食するはずの学食のうどんは、どうみても美味しそうではなくて
食欲が減少する。
どこで食事をしようか、席を見つけられない私に、一つの案が浮かぶ。
サークルのメンバーが常時陣取っている席がある。
けど…1年ぶりに留学から帰ってきた私を新入生達はまだ知らないだろう。
気をつかわせてしまうだろうか、気をつかってしまうだろうし。
こんな気遣い、イギリスじゃしなかったのに。
それに――――・・・
あぁ、なんて日本は面倒な国なのだろうか。
冷え切ったうどんに視線を落とした矢先に
「カズハ!」
懐かしい声に、肩を掴まれた。
一番 会いたくなかった人物が目の前にいた。
懐かしい低い声。落ち着いていて、優しい。
変わらない優しい微笑。
笑ったときに、目がなくなるくらい細くなるのがたまらなく好きだった。
温もりを伝える 大きな手。
ずっとその手に 触れたいと願っていた。
だけど 叶わなかった。
私じゃない違うほかの人を選んだ、彼。
会わないでいられるなら 会いたくなかった、彼。
そんな彼の名を、私は口に出した。
勇気を振り絞ったことなんて、彼は気づかないのだろうけど。
「雪村・・・・。」
久しぶり、アタシはちゃんと笑えていたかな。
***
「で、イギリスはどうだった?」
「それなりに・・・ 楽しかったよ。勉強になったし。」
君がいなかったから・・・と込上げた言葉を飲み込んで
変わりに 煙を吐き出した。
サークル席に連れて行かれて、食べたうどんは美味しくなかった。
久しぶりにあうメンバーや新入生へ気遣ったり、
なによりも 雪村が視野にいるだけで落ち着かなくて、
アタシは急いで食べて喫煙所へ逃げたのに
再会に喜ぶ雪村は私を追いかけた。
落ち着かない。
煙草を持つ手が震える。
留学する前は 自然と一緒にいて
一緒にいることが 当然で
その空気が心地よかったのに――
どうして こんなに 不安なのだろう。
「・・・・元気だった?」
漆黒の瞳が私をみつめた。
眉根をさげ、真剣な表情で覗き込んで。
その瞳。苦手。
まるで 何もかも見透かされてしまいそうだから。
私は新しい煙草をケースから取り出し、火を灯した。
「それなりにね・・・」
言葉を濁して、ゆっくりとため息交じりで吐き出した紫煙。
風が吹く。
髪が靡く。
君と別れてから 伸ばした髪が。
表情を隠す風に 「ありがとう」と呟いた。
「元気なわけないじゃん。アンタに会いたくて仕方なかったんだから。」
抱きついて 思いっきり文句を言いたい衝動を 必死で抑えて、
もう一口。アタシは煙草に口付けを落とした。
素直になれたら どれだけ 楽になれるの
Airの2話。3人の若者の思いを交差させて書いていきたいと思います。後々にまとめて一つの小説にしたいですね。