7日に母がかかりつけ医で検診を受けるということで6日に実家に泊まり、付き添ってきました。

 

実家のリビングのカレンダーには母の用事が色々と書き込まれています。

いつ病院に薬をもらいに行くとか、姉が来るとか、私が来るとか...

 

実家に行くと必ずそのカレンダーを見るのですが、今まで書いてなかったことが書いてありました。

 

それは....

 

「なにもない日」

 

なにもない日、という予定が書き込まれていたんです。

 

1ヶ月のうち、なにもない日の方が圧倒的に多いのです。

でも、あえて、「なにもない日」と記入してあります。

 

なにもないんだってことをちゃんと記入しておきたいんですって。

 

以前から時間軸がおかしいと思うことがあったのですが、最近はその傾向が顕著に出ていて姉も心配していました。

5月ごろに認知症検査のために頭のCTを撮影したのですが、その写真を見る限り、脳の萎縮は見られず、認知症ではなくて年相応の物忘れやボケだと思うって診断されたんです。

 

父の時は明らかに脳の萎縮が見られ、認知症だと認定されて進行を遅らせるパッチをもらっていたんだけど、父はそれを貼るのを嫌がり、母も嫌がる父を放置していた状態でした。「だって貼らないっていうんだもん」って。

処方してもらった薬も最後まで飲み切らない父だったので、とにかく薬を飲まないのもパッチを貼らないのも父のせいって母は言ってました。

言ってもやらないんだから自己責任だよって。

 

うーん。

確かにそうかもしれないけどね。

高齢になればなるほど自分の体のことで精一杯になるから、仕方ない部分も大いにあると思いますし。

けど、そこに誰か間に入って面倒を見る人がいたらと思うと、胸が痛みます。一緒に住んでいない分、顔を見に行った時くらいしか注意できなかったので...

 

 

家に誰かがいるのといないとでは大違い。

それを、母を見て強く思いました。

今まで自営業をしていたので父と母はずっと一緒でした。

父は家事をしないし、仕事をやめた後もなにもしなかったし、母はずっと愚痴を言ってたのね。

気が休まらないしいつも父を気にしてなくちゃいけないかったし。

 

でも、今は口癖のように「どうしてお父さんは先に死んじゃったのかねぇ。なにもわからないまま死んじゃうなんてね。もっとちゃんと準備してくれたら良かったのに」って言います。

 

お母さん。

それは、私たちがまさに今お母さんに対して同じことを思ってますよ。

 

「もうね、歳をとって、お父さんがいろいろやってたから何がどこにあるかわからないし、とにかくなにが何だかわからないのよ」って泣きべそをかくんだけど、

何が何だかわからんのはこっちなのよね。

お父さんは何もしないって言うけど、家のあちこちにお父さんが残した愛情が残っています。手すりだとか棚とか、整理箱とか。

電球ひとつ変えられない母を見ていると、いかにお父さんがこの家を、母を守っていたかひしひしと感じるんです。

やってもらっている人は当たり前に思っていて感謝も何もなかったんでしょう。

母は父に対して「何をやっても感謝とかない」って愚痴を言ってましたが、お互い様というか、お互い支え合って、お互いができることをやってた夫婦だったんですよ。

 

母の話しか聞いてないので父が何もしないことに対して「お父さんさー」と口頭注意をすることが多かったけど、かわいそうなことをしました。もっとお母さんがお父さんに感謝の気持ちを伝えるべきだったのではないかと思うのです。

 

父の遺品整理をするまでまだ時間を要します。

ものすごい数の遺品があるので。

同時に、父が生前買ったお寺のお墓の契約書も探さねば。

さらに、母がこれから一人で暮らしていけるかどうかも心配。

 

ひとりぼっちの暮らしにはだいぶ慣れたって母は言うけど、私を見送るときの母の寂しそうな顔が焼き付いて離れません。

 

これから娘が出産を控えているし、夫の心のケアをし続けているし、高齢で病気のルナもいるし、身動きとれません。

 

私は一体、どうしたらいいんだろう。

してあげたいことはたくさんあるの。

しなくちゃいけないこともたくさん。

けど、私は?

私はどう生きたいのかわからなくなってきちゃった。

 

お父さん、なんで何も残さず逝ってしまったのよ。

大事なことをなんで伝えずに逝ってしまったのよ。

 

仏壇に飾られた写真には笑顔で私を見ているけれど、

病床で私に幸せになりなさいねって言ってくれたけど、

お父さん、私はこれからどうしたらいいのかな。

 

お父さんに会いたいよ。

元気だったお父さんに会いたいよ。

いなくなってからこんなに会いたいって思うなんてね。

毎日いろんなことを抱えて考えて、本当に辛いよ、お父さん。