「・・・泊まってく?」
電車を待つホームで
消え入りそうな声で あなたが言った
「今日、泊まっていけば?」
今度は ハッキリ あなたは言った
私がもう一人じゃないこと 知っているでしょ?
私が彼を裏切れないって 知っているでしょ?
あなたは私を見つめ
私はあなたを見つめていた
あなたの心も
私の心も
ずっと前から決まっていた
あなたは私を愛したいと願い
私は
辛い現実から逃げ出したいためだけに
あなたに会っていた
あなたを愛したいとは
初めから思っていなかったんだ
愛されていたから・・・
あなたに愛されたいとだけ思っていたの
愛が欲しかった
実感できる愛が欲しかった
私は
彼との生活を守りたい一心で
どこかに逃げ道を探し
癒され
生きる力が欲しかっただけだった
何も考えなくていい
ただ 居心地がいいというだけで
あなたを求めた
それなのに
こんな私をあなたは愛し続けた
いつも笑顔で彼の元へ私を帰した
「何かあったらまた連絡してね。
頑張るんだよ・・・」
その言葉に何度救われたことか
私にもちゃんと味方がいるって
私の話をちゃんと聞いてくれるって
本当に嬉しかった
「泊まっていけば」の意味くらい
子供じゃないからわかってる
そんな眼差しで私を見ないでよ
そんな言葉 どうして言うのよ
・・・ドキドキした
ドキドキしすぎて
「そんなこと言うなら 今後の人生
責任とってよね」
私の口から飛び出した
こんな心無いセリフ
今でも忘れないあのときのあなたの顔
純粋な人の心を
ナイフで切り裂いてしまった瞬間
‘彼行き’の電車がホームに入り
いつものように私は電車に乗った
鼓動の音が気付かれないように
この動揺がばれないうちに
発車のベルが鳴る....
くるりと振り返ったホームには
友達の一線を越えてしまった一人の男が立っていた
閉まった扉のガラス越しから
小さく手を振ると
それに応えるように 口元がかすかに動いた
「またね・・・」
外の景色がにじんで見えない
私は彼を愛してる
だからあなたを愛せない
愛してくれても愛せない
愛したくても愛せるはずがない















子供がまだ小さかったとき。
主人の仕事は相当忙しかった。
毎日毎日、泥だらけになって帰ってきてた。
知ってる。
すごく大変で疲れていること。
わかって。
私もすごく大変で疲れていること。
でも、言えなかった。
頑張らなきゃって
私が足手まといになったらダメだって。
生活を守りたい。
自分がおかしくなってしまう前になんとか自分を救いたい。
救って欲しい。
救って、くれた。
救われた...















メールカウンセリングのご依頼はこちらから

