良いアニメ。とかく昭和を知ってる私のような世代には、たまらん作品かもしれない。何もなかったから、友達と遊ぶ時間こそが宝物だった、あの時代を知ってる私たちには。全体的な雰囲気は「この世界の片隅に」とか「火垂るの墓」とかに近いかも。
昭和30年代の山口県防府市を舞台に繰り広げられる、友達と命の物語。おでこにマイマイ(つむじ)がある新子は、妄想が得意。おじいちゃんからこの地域が1000年前は周防の国だったと聞いて、牛車や当時の家や人々に思いを馳せる。そんな時に東京からきいこちゃんが引っ越してきて、二人は友達になる。そして二人で、1000年前に思いを馳せ…。この地に1000年前、幼い清少納言が住んでいたという伝承を絡めて、美しくまとめてありました。
前半は昭和の田舎の風景からのノスタルジーな物語、でも後半は割と大人びたというか…学校の先生の悲恋、警官のお父さんの不遇。それに思いを馳せ行動に移す子供たち、と割と暗鬱な描写もあり作品に深みを持たせてあった印象。
あの時代だからこその美しさ、残酷さ。そして子供たちの元気さ、そしてがさつさ。最後新子があっさり別れていくところ、そしてそれが全然悲観的に描かれていないところにも、そういう時代だったのだという説得感が。新子ときいこはこの先どうなっちゃうんだろう、と思ったところで一瞬だけ描かれる、1000年前の二人。あれが象徴してるのかなー、と感じました。