この作品のテーマは映画の最後の最後、運転しながら泣き笑いしている平山のあの表情が、全てを現わしていると思った。トイレ清掃を生業としてプライドを持って日々業務にあたり、仕事上がりに銭湯に寄ってから、行きつけの飲み屋で一杯やって、古本屋で買った本を読みながら床に就く。スマホもない、テレビすらない。でも平山にとってはそれが大満足の、笑顔の絶えないPERFECT DAYS。同じルーティンで繰り返される毎日。でも同じ日なんて一日たりともない。それを平山は仕事の中で、神社でのランチタイムで、行きつけの飲み屋で見つけていく。それもまた平山を満足させて行く。

だけれどそんな日々も、PERFECTであり続けられない事もある。他人が干渉してきたりで、自分ではどうしようもない力で乱されたりもする。だから人生泣いて笑って、泣き笑い顔。そうやって人は、生きていくんだ。そんなメッセージを強く感じた、名作でした。