この作品への評価Sは「感動した!」とか「面白かった!」とか言うのとはちょっと違う。確かに魔法使いとしてのバトルとかもあるけれど、作品全体に流れる空気は「静謐」。「狼と香辛料」をどこか彷彿とさせるぐらい、いやかの作品よりも静謐な雰囲気さえ感じさせる。でもこの作品が描こうとしてるテーマは、とても難しいと思う。よくこのテーマに取り組んだなと、心から感心した「S」です。

この作品のテーマは「フリーレンつええええ!可愛いいいいい!!魔法!剣!勇者あぁあ!!」だけでは、無いわけで。1000年以上を生きて未だ少女の姿で進化し続けるエルフのフリーレンと、たかが100年足らずで成熟して死んでしまう人間の命と寿命の比較、のようなもの。フリーレンは1000年以上を生きて勇者パーティに入り、素晴らしい仲間と共に魔王を打ち倒すが、その仲間たちはすぐに死んでしまう。勇者ヒンメルも僧侶ハイターも、素晴らしい人柄である種達観しているけれど、やはり目の前で死んで行ってしまう。それをある種超越した視線で看取りながら、フリーレンはやはり涙する。何某かの、後悔をして。1000年以上を生きて人間よりはるかに高い経験値と知識を持っていても、やはり未熟ゆえ涙するのだ。命を見送る事の辛さ。病気や災害、事故でも大事な人を失う事はある。でも人間にとって、あらゆる生き物にとって「死」は絶対であり真理だ。それをこの作品は近く遠くで、深く謳っている。
 

キャラデザもとても良いし、作画もとても綺麗。ただ中盤の「1級試験」のあたりから、やっぱり「フリーレンつええええ!」になってきた感が。それがちょっと惜しかったような気がします。旅は続く、との事だからまた時期があるのでしょう楽しみに待ちたいと思います。

 

あ、勇者ヒンメルを岡本信彦さんが演じてましたね。何かレールガンのアクセラレータとかリゼロのガーフとか最近ではハイキューのノヤっさんとか、割とクセの強いキャラが多かったのでなんか意外w。でもちょーーーイケメンで、好印象でした!ハイターもいいねぇ!!