ある日、椿達が自宅で過ごしていると一通の手紙が届いた。

差出人は他でもない、ドーンガード砦のイスランである。

 

椿

「えーと・・・?」

 

前略 椿自警団の団長殿

至急来られたし

君宛の客人が待っている

願わくば今すぐ

草々 イスランより

 

メアリー

「イスラン、何だって?」

 

椿

「うん、なんか来て欲しいみたい」

 

メアリー

「ひょっとして寂しくなったのか?」

 

椿

「あはは・・私たちに会いたい人が居るんだって」

 

シャルロット

「私達に会いたい人って言われてもね・・・」

 

メアリー

「確かになあ・・・イスランの所に現れたなら仕事って訳でも無さそうだし」

 

椿

「何か事情があるんだよ、きっと」

 

数時間後・・・

 

イスラン

「おお、来たか!そろそろ気が気ではなかったのだ」

 

椿

「すみませんイスラン、それでお客さんというのは・・・?」

 

イスラン

「うむ、まあ着いてきてくれ」

 

イスラン

「ほら、彼女達が来てくれたぞ姫様」

 

イスランは扉をくぐりながら奥にいる人物にそう言った。

椿達はもちろん、姫様と言う単語がイスランの口から発せられたことに驚きを隠せなかったが。

椿

「うそ!?セラーナ!?」

セラーナ

「ええ・・私ですわ・・」

 

セラーナは緊張していたのか、椿達の顔を見て笑顔を浮かべながら続ける。

 

セラーナ

「またお会いできて良かった」

 

シャルロット

「こらセラーナ!こんな所に来たら危ないじゃない!」

 

イスラン

(グサッ)

 

メアリー

「ほんと、とんだ冒険だなぁ」

セラーナ

「ええ、けどそういたしましたわ。あなた達は信じてもいい・・そうでしょう?」

 

椿

「もちろんだよ!・・・けどここまで危険を冒したんだから、何かあったんだよね?」

 

セラーナ

「その・・・ここへは吸血鬼退治の依頼に来ましたの」

 

イスラン

「ちょっと待て!話が読めないんだが?」

 

イスランが納得のいかない様子で話を遮った。

吸血鬼が吸血鬼退治を頼むなんて確かに馬鹿げている。

それに、彼は吸血鬼がこの砦に居るということでピリピリしていた。

 

 

椿

「セラーナ、詳しく話して?」

 

椿はセラーナを怖がらせないように出来るだけ優しく問いかけた。

 

セラーナ

「父は・・星霜の予言を信じて、吸血鬼達がこの世を支配する事に躍起になっています」

 

一同

「!?」

 

セラーナ

「予言の一説には、『星霜の書を全て集める時、吸血鬼が太陽を恐れる事はなくなる』とだけ書いておりましたわ。」

 

椿たちはハルコン卿の顔を思い浮かべた。

恐ろしいという記憶以外出てこない。

 

セラーナ

「ご存知の通り、父は吸血鬼の中でも好人物とは言えません」

「くだらない予言の為に、一体どれだけの罪の無い者たちが犠牲になって来た事か・・・」

「私が星霜の書のひとつを持って地下に幽閉されていたのも、その企みを阻止する作戦の一環だったというわけです」

セラーナ

「椿・・・お父様が星霜の書を全て集めて予言を完成させてしまう前に・・お願い、力を貸してくださいな」

 

椿

「・・・・・けど・・もしかしたらお父さんとも戦うことになるかも知れないんだよ・・・?」

 

セラーナ

「ええ、分かっておりますわ・・・。けれどそれも承知の上。」

 

そもそも単身この砦に乗り込んできた時点で、彼女の決意は疑いようが無い。

椿達はセラーナの頼みを聞いてあげるしかなかった。

 

 

 

イスラン

「だがちょっと待て(二回目)、それは君にとってもありがたい予言ではないか?全く意図が読めんぞ」

 

セラーナ

「・・・私たち吸血鬼の中にも、無益な争いなど好まず影の中で生きていたいと願う者もおりましてよ」

 

イスランは少し悲しそうな顔をして沈黙してしまった。

 

 

メアリー

「おっさん、大丈夫さ!セラーナは悪事に加担しろって言ってるわけじゃないし」

 

イスラン

「しかし・・・いや、そうだな・・・。」

 

 

吸血鬼は憎むべき敵だ。それは今も変わらない。

だが、子が親を殺すなど・・・

 

イスラン

「・・・1つ約束してくれセラーナ。もしも父親の事で少しでも躊躇いがあるのなら」

 

少し間を置いて彼は続ける。

 

イスラン

「我々が君に代わる。その時はちゃんと言ってほしい」

 

それを聞いてセラーナは、彼が何か辛い過去を背負っている事に気が付いた。

彼女は感謝の意を込めてイスランに微笑みながら言う。

 

セラーナ

「ええ・・・必ず」

 

 

つづく

 

 

 


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