セラーナを送り届け、ドーンガード砦に帰ってきた椿達。

しばらく居ない間にイスランは本格的に砦を要塞化していたようだ。

 

イスラン

「戻ったか!ホワイトランの吸血鬼問題は解決したぞ」

 

椿

「ほ、ほんとですか!?」

 

イスラン

「ああ、我々を誰だと思っている?」

 

椿の素っ頓狂な声にイスランは少し笑いながら続けた。

 

イスラン

「で、例の墓地ではなにか見つけたか?」

 

椿

「はい、あの~・・・えーと・・・」

 

シャル

「吸血鬼達はあそこで女性を探していたわ」

 

イスラン

「女性を?・・・どういう事か説明してくれるかな?」

 

シャル

「彼女は星霜の書を持っていて、吸血鬼に狙われていたみたい」

 

イスラン

「星霜の書だと・・・?おお、神よ・・・」

 

イスランは目を閉じて祈るように呟いた。

 

イスラン

「では・・・その女性は今どこに?」

 

椿

「家に帰りたがっていたので送ってきました」

 

イスラン

「・・・・なにか隠しているな?君たちは何を知っている?」

 

3人は顔を見合わせるしかなかった。

イスランの鋭い眼光が突き刺さる。

 

椿

「・・・実はですね・・・」

 

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椿達は先日の出来事を全て話した。

 

メアリー

「でさ、セラーナは悪いヤツじゃねえんだ、頼むよおっさん!」

 

イスラン

「・・・それもどうだか分からんぞ?命が惜しくて君達と友好的に接していたのかも知れん。」

 

椿

「そんな!セラーナは・・・!」

 

イスラン

「・・・全く、だが君達の言うことももっともだ。もしかしたら、私の知らないだけで友好的な吸血鬼も居るかも知れん。私も別に、殺しがしたいという訳ではないのだよ」

 

椿達はその言葉にホッとした。

イスランは吸血鬼を心から憎んでいるが、それ以前に良識のある大人なのだ。

 

生きていれば俺の娘と同じくらいの年齢の少女だ、二度も同じ事を繰り返してなるものか・・・

 

ひと段落着いたので久々に家へと帰ってきた3人。

椿は帰ってすぐに古文書を開いて調べ物を開始した。

もしかしたら、セラーナのように友好的な吸血鬼に関する記述が残されているかもしれない。

 

 

メアリー

「何探してんだ?」

 

椿

「うーん、吸血症とか太古からの呪いについてね・・・」

 

シャル

「それはそうと、あなたその本どこから出してきたのよ?」

 

椿

「大人の都合!」

 

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どれ位時間が過ぎただろうか・・・。

吸血症に関する新しい情報はほとんど手に入らず、変わりにへんてこな病に関する項目が目に入った。

 

椿

「嫌顔病・・・?何よこれ・・w」

 

―その昔、町で嫌われている男がいた。その男は酷く傲慢で意地悪で、嫌味の次には嫌味しか言わないような男だったー。

 

椿

「ふんふん・・・」

 

― 町を追い出された男は、町中に呪いを掛けた。皆が嫌ったその男の顔に豹変するという恐ろしい呪いで・・・

 

椿

「プッwww」

 

そこまで読んだ椿は思わず吹き出してしまった。

呪いと聞けば確かに恐ろしいが、この男の掛けた呪いはなんと言うか・・・可愛らしいものがある。

これは子供向けに書かれた物語か何かに違いない。

 

シャル

「椿、吸血鬼問題の事、首長に報告はしなくて良いの?」

 

椿

「あ!!」

 

シャルロットの言葉に我に返った椿は、本を閉じてホワイトランへと向かった。

 

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ナゼーム

「雲地区には頻繁に行くのか?おっと馬鹿な質問だったな、もちろん、行かないに決まってる」

 

ホワイトランの市場を抜け、ドラゴンズリーチに向かう椿達にナゼームがいつもの嫌味を言った。

もちろん、椿は軽く微笑んでスルーしたが。

 

ドラゴンズリーチに着くと、バルグルーフが泣きそうな顔で待っていた。

 

バルグルーフ

「ああ・・・お前達ぃ・・・;;」

 

椿

「親父さん!??ど、どうしたんですか!?」

 

メアリー

「何があったか知らねえけど、そんな顔しないでくれよぉ」

 

バルグルーフ

「もうおしまいだぁ・・・ホワイトランは俺の代でその歴史を閉じるんだぁ・・・;;」

 

シャル

「シャキッとしなさいよ、首長でしょ!」

 

バルグルーフはしばらくオイオイと泣いていたが、落ち着きを取り戻したらしく静かに語り始めた。

 

バルグルーフ

「グスン・・・ここホワイトランで・・奇病が発生しているようなんだ・・・グスッ」

 

椿

「奇病・・・?」

 

バルグルーフ

「そう・・・発祥した者は段々と顔付きが変わって行き・・・その・・・」

 

「ナゼームに・・・なるんだ・・・」

 

メアリー

「ブッwww」

 

シャル

「こらwww」

 

二人は笑いを堪え切れなかったようだが、椿は先程の本を思い出していた。

嫌顔病・・・。

ナゼームは確かにこの町でもかなり嫌われている。

もしも彼が何か呪いを掛けたのだとしたら・・・?

 

椿

「分かりました。少し町の様子を見てきます」

 

バルグルーフ

「すまん・・・すまん・・・・;;」ブワッ

 

町へ降りると、状況が一変しているのが分かった。

いつもの町では無い・・・!

先程通った時は何も異常を感じなかったのだが・・・。

 

椿

「みんな!大丈夫!?何があったの!?」

 

椿の叫びも虚しく、誰一人として彼女の言葉に答える者は居なかった。

ただ帰ってくる言葉は

「雲地区には頻繁に行くのか?おっと、馬鹿な質問だったな、もちろん行かないに決まってる」

 

椿

「こんなの嘘よ・・・イソルダ・・・カルロッタ・・・ブレナイン・・・・」

 

椿は町人の名前を全て言ってみた。

しかし、段々とそんな人間は最初から居なかったのではないかと思えてくる。

 

椿

「メアリー・・・シャル・・・」

 

メアリー

「雲地区には頻繁に行くのか?」

 

シャル

「おっと、バカな質問だったな。もちろん行かないに決まってる」

 

椿

「・・・・え?」

 

椿が振り返ると、そこに親友の姿は無かった。

 

メアリー

「農場を所有していると」

 

シャル

「それなりのメリットがある」

 

二人はそう言いながら、椿に詰め寄ってくる。

 

椿

「い・・・いや・・・!!」

 

椿

「いやあああ!!」

 

彼女はたまらず駆け出した。

これ以上この場に居たくない!

恐らく自分が変異するのも時間の問題だろう。

 

ファレンガーなら何か治療法を知っているかも知れない!

椿は階段を駆け上り、ドラゴンズリーチへと急いだ。

親父さんがどうしてあんなに泣いていたのか、痛いほど伝わってきた。

 

 

ナゼーム

「ククク・・・」ニヤリ

 

椿

「ファレンガー!!」

 

椿は王宮魔術師であるファレンガーの元へと転がり込んだ。

しかし彼女を待っていたのはもはやファレンガーではなく、ナゼームだった。

 

ナゼンガー

「イソルダだったかな?ここへは何を?」

 

椿

「くッ・・・!!」

 

椿

「親父さん!!ここはもうダメです!!とりあえず一旦非難して・・・!?」

 

バルグルーフ

「もうダメっぽい・・・;;」

 

椿

「そんな・・・!!イリレス!!プロベンタス!衛兵ちゃん!!」

 

バルグルーフ

「椿よ・・・お前たちがこの町にしてくれた数々の貢献は一生忘れんぞ・・・例え・・・ナゼームになってもな・・・・」

 

そこまで言うと、バルグルーフは突然苦しみだした。

 

バルグルーフ

「ぐうううっ!!!お・・・俺の頭が・・・!!!一体・・・なんだああああああ!!」

 

椿

「お・・・親父さん・・・?」

 

 

ナゼグルーフ

「はいはい、忙しいんだが?」

 

そして椿は一目散に逃げた・・・。

 

その後彼女を見た者は誰も居らず、姿をくらましている。

噂では彼女の失踪とホワイトラン大量虐殺の時期が一致しているそうだ。

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・と言う夢を見たらしい。

 

つづく

 

 

 


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