メアリー
「もーう無理だ・・・・睡眠時間が足りやしねえ・・・」
メアリーはロリクステッドの夜間警備に就きながら一人ぼやいた。
吸血鬼に襲われた場合に備えて、ホワイトラン衛兵の助力を行っている。
衛兵
「はっはっは!さすがのメアリー殿も眠気には勝てないんだな!」
近くに立っている衛兵の一人が彼女に言った。
全くその通り!戦闘なら誰にも引けを取らない自身があるが、睡魔との闘いには勝てた試しがない。それに、もともとあたしは夜型じゃないんだ。
メアリー
「なあなあ衛兵ちゃん、夜間警備とか眠くないの??」
衛兵
「俺たちも最初は眠かったさ。それにメアリー殿は日中も付近の哨戒をしているから余計にな」
メアリー
「この前目の前で吸血鬼に襲われた人を見ちまったからなあ・・・」
そう、先日の一件でホワイトラン全域は緊張状態が続いてる。
あれから何度か例の化け物を追ったが、毎回あと一歩という所で逃げられてしまう。
原因をつぶさない事には永遠にこの夜間警備が必要となるだろう。
それだけは勘弁だわ・・・。
衛兵
「ああ、やっと夜明けだ。」
メアリー
「ふわ~ぁ・・・・・さて、帰って少しでも寝るか・・・。衛兵ちゃんおつかれ~」
衛兵
「お疲れ。俺たちもそろそろ交代の時間だな。」
一晩中起きていると朝日がうっとうしい程に眩しい。
本来なら吸血鬼は日中は行動できないハズなんだけどな。
どうやらそんなのは、あたしたち人間が考えた絵空事だったらしい。
メアリーはそんな事を考えながら椿の家へと向かった。
椿とシャルロットは既に帰り着いていたようで、何やら話し合いをしていた。
メアリーが帰ってきた事に気が付いた二人が声をかける。
椿
「おかえり、大丈夫だった?」
シャル
「あら、おかえり」
メアリー
「ただいま~・・・何話してたんだ?」
椿
「うん、このままじゃ体がもたないって話をね」
メアリー
「ホントだぜ・・・なんか良い方法ねーかなあ・・・」
シャル
「でね、吸血鬼ハンターが集まったドーンガードって言う組織があるらしいのよ」
椿
「衛兵さんから聞いたんだけどね。その人たちに協力を仰げないかなって思って。」
メアリー
「おお・・・頼りになりそうだな!素人じゃもうどうしようもねえし・・・」
椿の話によると、イスランと言うレッドガードの男が率いる吸血鬼を専門とした退治屋集団らしい。
ここ一週間ずっと追ってきた吸血鬼も彼らなら退治できるだろう。
そこまで考えて、メアリーは意識がなくなった。
ちゃんと賛成の意は伝えたが何と言ったかは覚えていない。
ついに、睡魔がメアリーの体を乗っ取ったのだった。
椿
「おはようございます、親父さん」
バルグルーフ
「おはよう椿。巡回帰りかな?」
椿
「親父さん、実はですね・・・・」
椿はドーンガードに協力を取り付けるためしばらく留守にする事を許して欲しいと彼に伝えた。
バルグルーフ
「ああ、それは大いに結構だが・・・、椿、もう少し自分自身を休めた方が良いぞ。変わりに衛兵を遣わす事だって出来るんだ」
椿
「ありがとうございます親父さん。そのお言葉、痛み入ります。」
バルグルーフはその後もしばらく彼女を労わる言葉を掛け続けたが、椿の意志は変わらなかった。
バルグルーフ
「リディア、あの子達が留守にしている間、イリレスと一緒に哨戒に加われ」
リディア
「えっ?」
バルグルーフの横でパンを頬張っていたリディアが素っ頓狂な声を上げる。
バルグルーフ
「なんだリディア、首長の命令が聞けないのか?(笑)」
リディア
「くっ・・・なんと言うパワハラ・・・!!(仰せのままに、首長)」
バルグルーフ
「お前・・・本音と建前が逆になってるぞ(笑)」
それから一刻もしない内に準備を終え、椿達はドーンガードの拠点があるリフテンへ旅立った。
メアリー
「眠~い・・・・落馬しそうだぁ~」
シャル
「これには同感だわ・・・椿、大丈夫?」
椿
「ZZZ・・・ZZZ・・・」