「夕立の雲もとまらぬ夏の日の かたぶく山にひぐらしの声」。新古今和歌集の歌です。

 この夏、猛烈な暑さに加え、不意を突いて局地的に降る激しい雨に悩まされています。13日は千葉県北西部で局地的な雨雲が急速に発達し、各地で1時間に100ミリを超える降水量を記録しました。

 この世の終わりのような激しい豪雨に被害は広がり、夜も眠れなかった方は少なくないでしょう。実は積乱雲が発達して雨が降るというメカニズムは、日本の夏の風物詩「夕立」と変わりません。夏の午後、強い日差しで温められた地表の空気が上昇気流を生み、朝顔がしぼむ夕方に激しい雷雨が降る。

 ところが最近はそれで終わらない。深夜まで続き、街に水があふれ交通機関は寸断。命の危険も。こうなると災害です。当日の天気予報は「大気の不安定による局地的な雷雨」くらいで、まさか特別警報級への悪化は想定外でした。

 夕立を災害級の雷雨にしてしまう要因は気候変動です。気温が1度上がると、大気の保水力は7%増えるといいます。気温上昇は、積乱雲を生成するエンジン(上昇気流)の馬力を跳ね上げているのです。

 本来、夕立は打ち水効果で涼んだり、かかる虹にホッとする“恵みの雨”です。しかしこの頃は電車が止まったり、住宅浸水の心配まで。夕立と呼ぶには過激すぎます。原発や石炭火力をやめて再生エネに転換する。気候危機に本気で取り組まなければ「夕立」も死語に…。