議論抜きの採決強行許されぬ

 国会最終盤、十分な審議が確保されないまま法案採決が行われる事態が広がっています。自民党、日本維新の会の与党は、暮らしとはかかわりない党利党略の法案を押し通すことに政治的エネルギーを費やしています。

 国会は17日に会期末を迎えますが、高市早苗政権はすべての政府提出法案を成立させる構えです。しかし、重要法案を日程ありきで押し通すことは許されません。

■結論ありきの日程

 会期末ギリギリに提出された皇室典範改定案は数多くの問題をはらんでいます。女性・女系天皇を否定する同法案は、国民の賛同を得られていません。衆参両院の全会派が参加する全体会議では皇族数確保がテーマとされ、皇位継承のあり方は議論されていません。長く一般人だった「旧宮家」の男子を皇族の養子にすることの賛否も分かれています。

 ところが、同案はわずか3時間の衆院審議で採決が強行されました。審議のやり方や問題点を真正面から批判したのは日本共産党の塩川鉄也議員だけです。中道改革連合をはじめ、国民民主党、参政党など日本共産党以外の野党は賛成にまわりました。十分な審議抜きに採決に突き進むのは、国会の「自殺行為」というほかありません。

 自民・維新は、連立合意書に盛り込んだ国旗損壊罪の創設、「副首都構想」実現のため、一部野党を密室協議で取り込む動きも見せています。

 表現の自由などを踏みにじる違憲立法の国旗損壊処罰法案は、国民民主、参政を取り込んで今国会で成立させる構えです。維新が固執する「都構想」=大阪市の廃止を「副首都」の名で実現させることが狙いの「副首都」法案についても一部野党の取り込みをはかっています。いずれの法案も、国会ではほとんど議論されていません。

 国民の暮らしと営業を置き去りにしたまま、強引な国会運営と党利党略の駆け引きばかりが繰り広げられる国会で、高市政権との対決軸を示した論戦を貫いているのは日本共産党だけです。

■熟議の場こそ必要

 国会は、多様な民意を受け止め、反映するための議論を行う場です。巨大与党の横暴を止めるため、国会の場で丁寧な議論を尽くすことこそ野党の役割です。安易な妥協や与党との密室協議で取引をすべきではありません。まともな議論もなく重大な問題のある法案の採決を強行することは許されません。

 自民・維新は、与党に有利になるよう、議会制民主主義の土台を崩す衆院比例定数削減を強行しようとしましたが、野党が結束して抗議し、今国会での成立を断念させました。

 与党は、秋の臨時国会で成立を目指す姿勢は変えていませんが、野党が結束して抗議すれば、与党が「数の力」で悪法をごり押ししようとしても阻止することができます。

 野党が悪政との対決軸をもたなければ、政治の緊張感は失われ、国民の声を政治に反映することはできません。国民の声に真摯(しんし)に向き合い、理解がえられるよう議論を尽くすことが必要です。