トートと黄金比の謎を追った『黄金比は次元を超える』1巻(2016)は興味深いものです。

 

 

黄金比と『エメラルド・タブレット』の関りが2巻以降では出てくるのではないかと思います。

 

2022年末に、この書を3つに分けた分冊版が出て、アクセスしやすくなりました。

 

そこで、今回から、1章、2章、3章のそれぞれの分冊を取上げます。

 

 

まず、1巻をまとめた2016年版について、著者がアマゾンのページで書いている情報が、他にはないので、引用しておきます。

 

「黄金比とは何か」

この謎めいた図形には
すべての人々に関係しながら 
古代より隠されてきた秘密があります

古代よりエジプトや世界中で,夏至や冬至が観測され 
遺跡が太陽の軌道に合わせて建設されていることを
不思議に思ったことはないでしょうか
 
古代の人々が太陽の観測をしていたこと 
黄金比を遺跡の設計に使ったことには,関連があります

その秘密は絵画『ヴィーナスの誕生』に隠されている暗号によって 
解き明かすことができます。

 

このあとに、出版に至った調査の経緯が書かれており、貴重な情報が含まれています。

 

古代エジプトの神トートは
古代エジプトにおいて 数々の智慧をエジプト人にもたらした 
最も重要な神の一人です。
古代ギリシャ人には神ヘルメスとして崇拝を受けてきました。

トートは
古代エジプトの文字
ヒエログリフの創始者であり
書紀であり
天文学者であり
占星術師であり
時の管理人であり
都市の建築設計者であり
錬金術師でもありました

じつはトート神が司った

『文字 建築設計 天体観測 占星術 暦 錬金術』の
全てを網羅し結びつける 黄金比の神聖幾何学が存在しているのです。

全てをつなぐ黄金比は多次元構造を描き出します。

あなたは そんな黄金比の神聖幾何学を 
知っているでしょうか?

これは最も古く 最も新しい黄金比の情報であり 
他では見ることができません。

 (※注 ドランヴァロ氏が提唱している 
     フラワーオブライフ(生命の花)は登場しません)


2013年 私は不思議な偶然の連鎖により 
ルネサンス期に描かれた絵画,『ヴィーナスの誕生』のなかに 
黄金比の謎をひも解く,秘密の暗号が隠されていることを発見しました。


その後 ヴィーナスの暗号を元に
黄金比に関する調査をはじめ 

イギリスの古代遺跡『ストーンヘンジ』の設計が 
黄金比であることを導き出しました。

またエジプトの遺跡にも ヴィーナスの誕生でみつかった暗号が
使われていることを発見しました。

その調査の内容は,考古学のオリンピックといわれる
世界考古学会議で,発表させていただいています。


なぜ トート神と女神ヴィーナスが結びつくのか
不思議に思われるかたもいるでしょう。

しかし ヘルメスとヴィーナスの2神の繋がりは
突拍子のないものではなく,根拠があります。


1460年にイタリアのフィレンツェで 
古代の古典『ヘルメス文書』が大富豪メディチ家によって翻訳されたとき 

中世でヘルメス哲学に傾倒していた者たちは ヘルメスの秘密は 
女神ヴィーナスが受け継いだと信じていました。

ヴィーナスは『ヘルメス哲学』と強い結びつきをもった女神なのです。

『ヴィーナスの誕生』は1483年頃にボッティチェリによって描かれていますが
それは『ヘルメス文書』が復活した23年間後のことでした。

ボッティチェリはメディチ家と親しい結びつきをもち 
パトロンとしてバックアップを受けていました。
最も『ヘルメス文書』に近い場所にボッティチェリはいたのです。

私が偶然に見つけた暗号は そのときに描かれたものです。


この本は遺跡と黄金比の関係を説明しながら 黄金比とは何か?を解明していますが
写真や図を多用しており難解ではありません。

本の内容は誰にでもわかりやすく
面白く をコンセプトに読みやすい内容になっています。
ただエジプトや古代遺跡が好きなかたでも
新発見が楽しめる内容だと思います。

調査内容は説得力があり 誰でも一目で理解できます。

また世界考古学会議では発表できなかった 
古代遺跡の調査内容を多数載せています。


さて 最後になりますが
私が世界考古学会議にエントリーしたときのお話です

私が考古学会議にエントリーした際に審査員のかたから
こういった内容ではないですか?と
どこかでみたような遺跡の考察の画像を見せられて確認されました。

現在さまざまなかたがネット上に 古代遺跡と黄金比に関する考察を載せています。

(わかります そう思いますよね)


しかし 私が調査した 黄金比と遺跡に関する調査内容の画像を4~5枚送付したところ 

YES! 黄金比は●●●●●● と 返事をいただき
世界的な会議で発表する機会を得ることができたのです。

新規性と説得力がなければ 考古学者でない私が 
考古学のオリンピックといわれる世界考古学会議で
発表する機会を得られることはなかったはずです。


重要な部分は隠しておりますが どうぞ書籍にてご確認ください 

黄金比の真実はきっとあなたの想像を超えます 

あなたは 真実の地球の歴史を知ることになります。


 ●興味を持っていただけましたら 著者紹介のページに動画をアップしております

  私が黄金比に興味をもち調査をはじめるきっかけとなったできごとと 
  ヴィーナスの絵画に隠れている黄金比の一部を 動画で視聴できますので御覧ください。


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  目 次
第1章 ヴィーナスの暗号   3次元の黄金比の発見
第2章 古代遺跡の設計の秘密 3次元の黄金比の無限性
第3章 トート神と天空の鏡  ヒエログリフの秘密, 錬金術

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著者 : 日本人 クリスタル原石 ジュエリーアーティスト  
     グラフィックデザイナー

 

上の文章にある著者紹介の ページ に動画があります。

 

この動画は、YouTube でも見ることができます。

 

 

 

それでは、ここからは、分冊版の第1章の紹介です。

 

 

 黄金比とボッティチェッリのヴィーナス

 

美しい本だ。

 

固定レイアウトの電子書籍というと、冊子体のレイアウトそのままを画像化したものがふつうで、本で見たときの感じは分るものの、電子書籍としての読みやすさとか美しさとかは、もう一つのことが多い。

 

ところが、本書はちがう。初めから電子書籍としての見やすさに細心の注意をそそいで作られている。デザイナーの著者ならではの本だ。

 

そして、この見えやすさは本書の鍵の一つになっている。なぜなら、本書は数学的概念である黄金比を可視化して、数式抜きでヴィジュアルに主題を納得させようとする本だからだ。

 

その主題とは、古代から現代にいたる目に見えるものの背後にある、ある数理の秘密である。それが何なのかは、分冊版の第1章である本書では、まだ片鱗しか分らない。

本書で鮮かに示されるのは、ルネサンス期の有名な芸術品、ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」と、ダヴィンチの「モナ・リザ」と、ミケランジェロの「ピエタ」に隠された黄金比だ。この3人の芸術家はいづれもメディチ家の支援を受けていた。

 

 

本書によれば、メディチ家は、哲学者フィチーノに援助を与え、プラトン全集や、ヘルメス文書の翻訳にあたらせた。これらの書物がルネサンスの思想家たちに大きな影響を与えた。

 

メディチ家が主宰する私的なサークル「メディチ・アカデミー」がルネサンス思想の拠点になったと本書は指摘する。そこは、すぐれた天文学者、思想家、芸術家、人文学者が集まり、古典についての知識の共有がおこなえる場所であったと、本書は指摘する。メディチ・アカデミーを中心になって運営していたのは、フィチーノだった。

 

さらに、本書によれば、メディチ家は近代科学の前身である錬金術の研究に莫大な投資をしたという。本書は〈アルコールや火薬,真鍮の製法は錬金術師が発見した〉ことを指摘する。

 

プラトンの『ティマイオス』には、古代ギリシアより古い時代に高度なアトランティス文明があったが一夜にして滅ぼされたことが、古来より口伝されていたと記されていると、本書は指摘する。

 

 

本書は、つづいて、錬金術師の祖であり、建築家、天文学者、魔術師である古代エジプトのトート神(ヘルメス)について述べる。

 

古代ギリシア人はトートをヘルメスと同一視し、ギリシア神話のオリンポス12神の一柱に数えていると、本書は指摘する。

 

〈トート神は古代エジプトの神聖文字『ヒエログリフ』の発案者であり,学問の神として崇められ,知性だけでなく精神面においても後世に影響を与えました〉と、本書は述べる。

 

キリスト以前の〈古代宗教や,ギリシャの哲学者たちの思想はトート神(ヘルメス)から大きな影響を受けていると考えられています〉と、本書は指摘する。

 

前述した、メディチ家が翻訳させたヘルメス文書は〈エジプトのアレクサンドリアで統合されたヘルメスが伝えたとされる文書群〉と、本書は述べる。同文書には、〈哲学,宗教,占星術,錬金術,魔術など〉が含まれると、本書は述べる。

 

 

本書には黄金比は1.618とだけ書いてあって、なぜその値になるのかの説明はない。

 

この比の値はよくφで表される。辺の比が1:1.618の四角形を黄金長方形と呼び、それだけ分れば、本書は読める。

 

黄金長方形の中に最大の正方形を取ると、残った長方形がまた黄金長方形になる。以下、えんえんと相似の長方形が出てくる。

 

黄金長方形の短辺をa, 長辺をbとしたときに、次の等式が成立する。この a と b の比が黄金比(1:(1+√5)/2)である。

 

a : b = b : (a+b)

 

この比から次の式が得られる。

 

a(a+b) = b^2
-b^2 + ab + a^2 = 0

 

ここで a=1 と置く。求めるのは b/a の値なので、こうしてもかまわない。すると、

 

b^2 - b - 1 = 0

 

を解けばよいことになる。

 

中学で習う二次方程式の解の公式にあてはめると

 

b = (1 ± √5) / 2

 

となる。b は線の長さゆえ、正の値になる。すると、

 

b = (1 + √5) / 2

 

になる。√5 = 2.2360679 . . . だから

 

b = 1.6180339 . . .

 

の値になる。これが黄金比(φ)である。無理数である。

 

つまり、この値は中学レベルの数学で計算できる。

 

 

値に納得がゆけば、あとは黄金比が、絵や建築など、さまざまのものに表れるさまを見てゆけばよい。

 

本書での黄金比の適用の仕方は静的なもの(「モナ・リザ」の顔の縦横比が黄金比など)のみでなく、ダイナミックである。黄金比を回転させたり反転させたりして、合致する点を検証しているのである。

 

そして、本書で一番おどろいたのは、これらの芸術家が、実は黄金比の静的な適用だけでなく、動的な運用方法も知っていたのではないかと推論していることである。

 

もちろん、芸術家が直観にしたがって作った作品に黄金比が見られることは、著者自身も経験しているし、実際にあることだとは思う。しかし、そういう数学的な原理を芸術作品に意図的に応用していたのではないかという仮説はスリリングである。

 

著者の推測によれば、黄金比の回転という、これまで公になっていない、知られざる知識は〈古代から秘密裏に継承され,メディチ・アカデミーや芸術家の師弟間で共有された秘儀だったのではないか〉とのことだ。

 

 

本書123頁に螺旋階段の写真がある。著者によれば〈奥行き(Z軸)が加わることにより階段が縮小していく様子〉とのことだが、ここにクレジットはないものの、これはバチカン美術館に間違いない。これは、〈黄金比の大きさを変えることで,黄金比にZ軸(奥行き)が加わり,3次元の遠近法が出現している〉ことになるという。