いつからか私もあがり症になってしまった。

 

発症するシチュエーションはだいたい限られている。

それは、人前で話すという行為の時だ。

 

会社だと、朝会のスピーチとか、

会議のプレゼンとか、そんな時に発症する。

 

例えば、3、4人くらいでの朝会であっても

コンディションが悪ければ発症してしまう。

 

具体的にどんな状態になるのかと言うと、

心拍数が上がり、声が震えてしまう。

 

しかし不思議なことに、体はさほど震えない。

人それぞれに発症の仕方が違うようだが、

私は鼓動が声帯に直撃するタイプなんだと思う。

声であることがとてもつらい。

 

これから話すっていうのに、

声帯が言う事を聞かなくなるのだから、

本当に参ってしまう。

 

声なので、

聞いている人たちに、

「あ、あの人緊張しているな。」と、

伝わりやすく、

そして私もそれを感じて、

「どうしよう!緊張してることが伝わっちゃうっ」

と焦ってみたり、

軌道修正するにもうまくできず、

発声するたびに

「あちゃー・・・」と、

思ってしまい、

そんな思いが余計緊張を増幅させる。

 

人によっては

気が気じゃなくて聞いてられない人もいると思う。

そして、

気が気じゃない人もいるんだろうな・・・という思いも、

さらに自分を追い詰める要因だ。

 

この状況をどうにかしなければいけないと思い、

一時期、あがり症の克服を試みたことがある。

 

やってみたことはこれらだ。

 

・「あがり症のメカニズム」について書籍を読んでみた。

・神経内科を受診してみた。

・ボイストレーニングに通ってみた。

 

書籍を読むに至ったのは、メカニズムを知れば

対処できるのではないかと思ったからだ。

結果、その本が医学書すぎて読み進めることができなかった。

だから残念ながら実にはならなかった。

 

神経内科では薬を処方された。

緊張を緩和する薬だ。

これは少し効果があった。

話をする前に飲むと、少しぼーっとして、

余計なことが考えられなくなる仕様になっている。

しかし、根本的な問題は解決されず、

薬頼みになってしまうので、あまりよくない。

 

そしてボイストレーニングだが、

「発声」という切り口から克服に挑んでみたのだ。

鏡張りの部屋で、自分を見ながら、あらゆる発声練習を行った。

なんだかそれが気恥ずかしかったし、

なんかこの方法は違うかもなぁと思ったし、

あまり気が乗らなかったので、先生とお話ばっかりしていた。

先生もなんであんなに話ばっかりしてたのだろう。

全然教えもしないで。

楽しかったからいいけども。

 

人生を遡って考えてみると、もともとあがり症ではなかった。

 

中学生の頃は全校生徒の前で堂々と作文を読んでいたし、

小学生の頃は国語の朗読で先生に当てられるのをワクワクして待ってたし、

もっと小さい頃はテーブルに上がって、歌って踊っていたらしい。

このことを考えると、人に注目されることは

むしろ好きだったのではないかと思っている。

 

だめになった境目は、社会人となり、十年くらい経ってからだ。

私は高卒で18歳から働いている。

そして20代の後半に転職をした。

その転職先での出来事が発端だと思う。

 

その頃、私には、

そんなに実績がないにも関わらず、

社会にそこそこ通用するだろうという、

よくわからないおごりがあった。

 

自信を持って転職した私に待ち受けたのは、

おごって膨らんだ頭を勝ち割られるような、

自信がなくなっていく日々だった。

 

とにかく社員数が多く、大人数が所属する会社で、

社員には一流の大学を出たものもいる。

学歴なんてさして重要ではないだろうと思っていたが、

一流の大学を出たものは、

一流の教授のもと、一流の頭脳を持った人たちと肩を並べて、

一流の環境で社会や日本や世界について学べる環境が整っており、

私とは知識の量が雲泥の差なのだ。

切磋琢磨という経験も彼らとは比べ物にならない。

大学受験をし、大学生活を送り、就職活動などの競争社会を

乗り越えた人たちはこんなにも色々な筋力がついているのかと

感心し、そして自分に失望した。

 

なんだか私はサービスの理解も人一倍遅く、

同僚や先輩達には少し飽きれられていたと思う。

それに加えて、一般的な常識もあまり持ち合わせていなかったので、

それでも遅れを取っていた。

 

これ以上にもっともっと色々なことがあって、

徐々に自信がなくなってしまったということである。

 

なんとか努力をして、

それなりに使い物になるようにはなったけど、

ずーーーっと自信がなかった。

会社員の間、自信が回復することはなかった。

 

そんな出来事が私をあがり症にしたのだと思う。

だからテクニックのようなハード面で克服しようとしても無駄なのだ。

そもそも潜在意識というソフト面が負傷しているから。

 

今は会社員を辞め、セラピストになった。

なので朝会もプレゼンもない。

 

自分が自信をもって取り組める役割に出会えて本当にしあわせだ。

まだまだ潜在意識が回復しきっていないので自信はないが、

セラピストとして自信に満ちてきた先にはきっと、

人の前で伝えたいことを伝えている自分がいると思う。

 

緊張はするかもしれないが、

その時は、緊張を超えて、

伝えたいという感情が先頭で引っ張っていると思う。

 

あがり症は克服できる。

人前で話すことが苦手なのではない。

心から伝えたいという感情になれなかった、

ただそれだけなのだと思う。

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