【自分はこんなに努力しているのに、という間違い】 | Live with Max.

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世の中のあらゆることは、人間関係に行きつく。
そんな視点でいろんなことを考えながら書いています。

今日は、ちょっと何の脈絡もなく、あるこ
とについて書いてみたい。

僕には直接関係のあることではないが、
なんともモヤモヤとする話を、今日、
たまたま耳にしてしまった。


それを聞いて、僕は自分が経験したあ
る出来事を思い出した。大分前のこと
になるのでちょっと記憶が鮮明でない
部分もありますが、今日はその事につ
いて書いてみたいと思う。



=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

人を変えることは出来ないということ

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=



もう数年前になる。僕が福岡にいる頃の
ことだ。スタッフの岩本(仮名)さんが、
掛け持ちでやっていたバイト先の人間
関係について僕に相談をしてきた。


そのバイト先の店のチーフを務める人
と、どうしても性格的に折り合うことが
出来ず、お互いに意識して距離を保ち
続けていた。


しかしその対立しているような雰囲気
が周囲にも気をつかわせてしまい、
そこの人間関係や職場へ非常に悪影
響を与えてしまっていたらしい。


そこで、岩本さんは今までの自分を
変えて、自分からチーフと打ち解ける
行動をとり始めた。


提案や報告、店全体に関する相談事
など、今まで避けてきたことをし始め
たところ、チーフの方も同じように色々
と話してくれるようになってきたとのこ
と。



『そうか、岩本さんが自分を変えよう
と努力したからだよ。良かったじゃな
い。』


と僕は言ったのだが、岩本さんの表
情は冴えない。口をへの字にし首を
傾げている。


『コミュニケーションがとれるように
なったのはいいんですけど、今まで
全く無かったのに、最近じゃ私の行
動や意見に、やたらとケチをつけて
きたり、揚げ足をとるようなことをど
んどん遠慮なく言ってくるんですよ。』


そう言って鼻からを息を漏らす。


なるほど、人間的に好きになれな
いチーフを牽制するように距離を
置いてきたが、その壁を岩本さん
自ら崩したことによって、チーフの
岩本さんに対する言動を抑えてい
た壁をも崩したということか。


『こっちが一生懸命合わせようとし
て、職場の雰囲気を良くしようとし
てあげてるのに、何だか急に調子
に乗りはじめて、まるで私を新人
バイトのような扱いで、ずけずけと
言いたいことを言ってくるんですよ。』



『そっかぁ、岩本さん、自分を変え
て頑張っていたんだね。それは良
いことだと思うよ。僕は正解だと思
うな。チーフが変われば岩本さん
だってうまくやれるのに、そう思っ
ていたんじゃない?

でも相手を変えようと思っているこ
とがそもそも間違い。それに気づい
たからこそ自分から歩み寄ったん
でしょ?』


『確かにそうなんです。でもなんだ
かバカ臭くなっちゃって、もう我慢し
てらんないんです。どうして内海さ
んはそれでも正解だと思うんです
か?』


『だって、岩本さんが自分を変え
たの何のためなの?』


そう僕が聞くと、数秒考え込んで
一言毎に頷きながら答えはじめた。


『それはやっぱり、他のバイトの
人達と、私とチーフにとってもだ
し、皆も余計な気をつかわずに
働きやすくなって、お店全体も
良くなると思って。』


『岩本さん、えらいね。その通りだ
よ。だったらいいじゃない。チーフ
が岩本さんに何を言おうと。』


『嫌ですよ、こっちばかりが気を
つかって、チーフは調子に乗って
言いたいこと言ってくるばかりで。』


それを聞いた瞬間、僕は思わず
目線を上に外して耳の下を指で
掻きながら声を出さずに笑った。


『もう一回聞くけど、岩本さんは
バイトのみんなのため、お店の
ために自分を変えたんだったよ
ね?本当にそうなのかな?今の
岩本さんの話を聞く限り、僕は
それは嘘だと思うよ。何故だと
思う?』



岩本さんなら自分の矛盾に気づ
けるはず。そう思い、答えは言わ
ずに考えさせた。


口びるをとがらせ、一瞬納得
のいかな表情を見せたが、す
ぐに「あっ!」というように口をあ
けて、動きが止まった。


『そう、その通りだよ。皆のため、
お店のために自分を変えたので
はなく、岩本さんはまだチーフ
を変えようとしていたんじゃない。

自分が態度を変える見返りとし
て、職場の雰囲気を改善する
よりもチーフを変えることの方が
実は一番になっていたんだよね。』


『そうですね。そうでした。私が間
違っていました。結局私は自分で
はなくて、相手を変えようとしてい
たんですよね。』


僕は頷きながら、岩本さんの目
を見て笑っていたような気がする。
20代半ばでこんなことを素直に認
めることが出来る器があるなんて、
それだけで大したもんだ。そんな
ことを考えていた。


よくあることだ。


何かのために。

誰かのために。

そのために自分は頑張る。そう言い
ながら『自分だけがこんな思いをし
て納得がいかない。』

そんなものは努力でも忍耐でも無
いと僕は思う。自分が思っている通
りに相手が変わってくれることを期
待している時点で、○○のために、な
んて言葉は嘘になる。


何かのために、誰かのために、と
いう気持ちが真実なら、相手がど
ういうリアクションをとろうと、『うま
くいくこと』を自然と優先させなくて
はいけない。


相手が変わらないから、分かって
くれないからと言ってキレちゃうな
んてことは絶対にないはず。

結局人間は感情の生き物。理論
や理屈なんて後づけだろう。

なのに自分の中にある『正しさ』を
武器に他人を責めることなど、虚
しいにも程がある。その『正しさ』
のために自分を変えるのが本来
の使い方ではないだろうか。


正しさや、○○であるべき、といった
理屈や道徳・倫理的な考え全て
をもちろん否定するわけではない。

僕が言いたいのは、そうではなく
て『うまくいくことを選択する』とい
うことである。

何かのために、誰かのためにと
いう気持ちが真実にあるのならば、
それが達成されるならば、自分の
行動や考えを認めてもらったり賞
賛してもらう必要などないはずだ。


他人を変えることは出来ない。
相手がなにをしようと、言おうと、
自分が正しいと思ったことのため
に自分を変えることに集中するだ
けだ。


そんな話を長々と岩本さんと話な
がら最後に1つ質問をしてみた。


『じゃぁ、岩本さん。これからどう
すればいいと思う?』


『う~ん、どうすれば「うまくいくの
か」を考えろってことですよね。
難しいですね、どうやってもチー
フは変わらないような気がします』


僕は前のめりに顔を近づけて笑い
を吹き出した。

『岩本さん、「他人を変えることは出
来ない」でしょ?』


『あ、そっか。またやっちゃいました
ね(笑)』


2人で目を合わせて手を叩きながら
笑った。


『でも、内海さん。私、今日内海さ
んの話を聞いて自分が変わったと
思います。内海さん、私を変えまし
たよ。内海さんの話と矛盾しませ
か?(笑)』


どこかの故事のようなオチを付け
てくれた。よくそんなことをすぐに
思いつくもんだ。



僕が変えたんじゃなくて、岩本さ
んが変わることを望んだだけだよ。


そんな話がそこからまたスタート
したのでした。


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