体幹には、胸腔、腹腔、骨盤腔の三つの腔がある。

この三つの腔の圧力(内圧)は、正常な状態では、

胸腔<腹腔<骨盤腔

という圧力分布でバランスが保たれている。

しかし、このバランスが崩れると、思わぬところで内臓疾患が発症する。

これが顕著に現れた症例を紹介しよう。

患者さんは、というか実は俺の父の話。

話は、父が当時78歳。

既往歴としては、
2000年頃に脳内出血。
そして2005年頃に右股関節骨頭骨折と脳梗塞により、ほぼ寝たきり。
脳梗塞の影響で、胃ろうにて食事摂取。
2010年7月、大腸ガンの腫瘍の影響で腸閉塞になったため、人工肛門増設。ガンの転移はなし。

そして2010年10月下旬、肺疾患と消化器系多臓器の機能不全により入院。
発熱あり、血圧・血中酸素濃度低下。
肺疾患により、当初は肺結核の疑いもあり。

この時、担当医は内科医だったのだが、

俺が整体をしていることから、その担当医から療法について協力要請があり、その治療に関わることが出来た。

そこでもう一度、既往を追ってみて、あることに気づいた。

胃ろうは増設しているものの、それは食事の時以外はフタをしてある。

しかし、人工肛門はいつでも袋に便が入るように、開けっ放し。

そう考えると、圧力分布が

腹腔<胸腔<骨盤腔

になり、バランスが崩れていることになる。

その状態が長期間続けば、何らかの問題が出てきてもおかしくない。

そして、内臓や筋肉などが代謝によって変化するのが3ヶ月であることを考えると、

人工肛門増設からちょうど3ヶ月目。
いつ何か起こってもおかしくない状態だったのだ。

それに気づいたため、その旨を担当医に話した。

つまり、胸腔の圧力が高くなった状態が続いた結果、肺は肺線維化(ゴム風船のような肺の主要部分が、伸縮性のない線維で作られた風船のようになって伸縮しなくなった状態)していること、

腹腔の圧力が低下したことによって、胃腸が食べたものを送る運動(蠕動運動)が充分出来なくなっているのではないか、と。

胸や肋骨を触ると異様に緊張もしてた。

そこで、薬の投与を続けながら、まずは抱き抱えて身体を起こしたり寝かせたりすることで、呼吸を確保。

同時に、脳を守ることと熱及び感染症や合併症対策として、氷枕にて頭と首のアイシング。

それを2週間続けたところ、発熱は治まり、血圧・血中酸素濃度は上昇。

しかし、消化器系多臓器はまだ動かず。

そこで、内臓は立って歩いて機能することから、発泡ブロックを置いて足を着けさせて立っている時になるべく近い状態を再現。

これを常設した上で、担当医・看護師・私が時間がある時に足首を動かして歩いているのと同じ動きを骨盤にさせることで、蠕動運動を誘発した。

それから2ヶ月半後、肺及び消化器系は完治し、退院。

通常、多臓器不全の場合はほとんど助からないようなのだですが、無事退院出来たことに、担当医も驚いていました。

俺の考えた通りではあったが、これも、確信をもって処方したことと担当医の理解と協力があったからだと思う。

父はそれから3年後、老衰にて他界したが、老衰で逝かせることが出来たことで、親孝行にはなったと思う。


まとめると、

胸腔の圧力<腹腔の圧力<骨盤腔の圧力

という圧力分布のバランスが崩れると問題が生じる可能性が格段に高まる。

そして、そこから発症した場合に生還するためには、本来の姿を理解した上で、それに近い状態や環境にすることが必要だ。

特に重症で手がつけられない状態の時には、

原点に戻って、本来の「状態や環境」を考え、身体はどうやってそれに近づこうとしているかを観察して、それを後押しすることが必要になるのだ。

そして、自ら本来の状態に近づけ、近づこうとする力を養うのが、立腰(タテゴシ)体操なのだ。


立腰(タテゴシ)体操に興味のある方は、日本立腰協会又は宮本ケアセンターにお問い合わせください。

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