「何のために勉強するの?」と子供に聞かれることがあります。これに対してどう答えるのが正解なのか、世の中の保護者や教師は解答を用意しているでしょうか?

子供とのバトルは先読みして答えを準備していることが大切です(笑)。

僕は一人の生徒を数年間にわたって教える事が多いのですが、数年間付き合っていると、どの生徒も一度はこの質問をします。おかげてこの質問に対する対応に慣れてきました。一つ目の正解は『答えない』、あるいは『正面から答えない』です。

本来この質問には答えなくていいのです。というのも、子供は勉強したくないからそう言っているだけだからです。子供は「勉強しなくてはいけない」とあらゆる機会に叩き込まれています。勉強に対する強迫観念は親よりも強いはずです。このような質問に答えるまでもなく、勉強しなくてはいけないと十分に理解しているのです。

それでもこうした質問を投げかけるのは、大人がオロオロしたり、大人の答えに矛盾が生じるのを見付けて、何とか勉強しないで済む理由を探そうとしているのです。

また自分が一度でも本気で勉強したことのある生徒ならば、勉強がどれほど価値があるものか、既に知っています。中学受験の生徒ならば、塾のクラスが上がることはこの上ない喜びです。志望校の合否が人生に影響することも分かっているし、周りの子への優越感を感じることもあるし、知的な喜びも知っています。

たとえ子供であっても「勉強が大切なこと」「勉強するといいことがあること」は身に染みて理解しているのです。

というわけで「何で勉強しなくちゃいけないの?」という究極の質問に対する正答は、「何でだろうね。やらなきゃいけないのは分かってるでしょ?何でかは自然と分かってくるものなんだよ。」くらいで流すことです。

重要なのはうろたえたり、怒ったりしないことです。静かに、機嫌よく、断固として答えることです。「ああ、うちの親は勉強の大切さを確信しているんだ。そして何としても僕(私)に勉強させる気なんだ」と思わせることが大切です。何を答えるかよりも、そう思わせる態度の方が重要かもしれません。

それでも子供が食い下がってくることがあります。彼らは何とかして勉強しない理由を見付けて、ゲームしたり、サボったり、遊びに行ったりしたいので、死にものぐるいです(笑)干し草の中に針を探すように、なんとしてもサボる理由を見つけ出したいのです。

そこで多くの親が持ち出すのが、「夢」というワードです。

親(以下P)「夢があるでしょ?」
子供(以下C)「うーん」
P「夢を叶えるためには勉強しなくちゃ。そうでしょ?」
C「でも夢なんてないから」
P「ないの!?じゃあ、見つけなさい」
C「うーん、ユーチューバーかな(けっこう本気)。あっ、じゃあ勉強しなくていいじゃん」
P「ふざけないで!まともな夢を探しなさい」
C「でも本当にないんだもん」
P「じゃあ、なおさら勉強すれば、選択肢が広がるじゃない!潰しもきくし」
C「えー」


こんな感じです。ところで99%の子供にはまともな夢がありません。「まともな」というのは、もちろんある程度の収入を得ることが出来る現実的な目標です。サッカー選手になりたいとかユーチューバーになりたいというのは「現実的」な夢ではありません。お花屋さんになりたいとか、先生になりたいとか、お嫁さんになりたいというのは実現可能かもしれませんが、本当にそれに向けて努力している子供はあまりいないでしょう。「夢」に向かって努力できるのは高校2年くらいからです。

もちろんかなり若い段階でサッカーに打ち込んで、リトルリーグなどである程度の結果が出ているのであれば、もちろんその方向性で生きていくのは素晴らしいことですが、そんな子供は1%もいないでしょう。

ほとんどの子供にとって、夢というのは漠然としていて、モヤのような可能性でしか見えていません。勉強をするか、技術を身に付けて、結果が出てくるにつれ、具体的に見えてくるものなのです。その子供に夢を理由に勉強させるのは無理です。順序が逆です。

僕の生徒の親は医者が多いですが、ほとんどの子供はなんとなく「医者かなー」と思っています。そうした子供に夢を無理やり口に出させて、「医者なの?それなら勉強しなくちゃ」と発破をかけるのはまるきり逆効果です。「やっぱり無理そうだから諦めよう」と考えるようになります。

「夢には関係なく、どんな子でも、どんな大人でも、勉強はしなくちゃならないもの」と教えるのが正しいと思います。習慣として勉強した結果、ある程度の成績を取れるようになった時に、具体的に医者を目指そうと口にできるようになるのです。

話が逸れましたが、「何で勉強しなくちゃならないの?」という問いに、「夢」や「選択肢を増やす」で対抗するのは、正論ではありますが、ほとんどの場合意味がないと思っています。夢はほとんどの子が持っていないし、選択肢のために毎日何時間も頑張ることは不可能だからです。

繰り返しになりますが、「何で勉強しなくちゃいけないの?」という問いに対しては「やらなきゃならないもの」「習慣としてやるもの」「やってれば分かるようになる」「私ももっと勉強しなきゃね」などと、真正面から答えないのが正解です。禅問答のような、ずるい答えですが。

一方で、サボるつもりでなく純粋な興味からこの問いに答えてもらいたいと思う生徒もいます。特に中学受験前の小学6年生や、大学受験前の高校3年生です。こうした生徒には真正面から、誠実に答える必要があります。

話の流れや生徒の趣味や性格や年齢にもよりますが、僕はこんな風に答えることもあります。(アメブロの字数制限に引っかかったので、次の記事で)