歴史は動いた | ほたるいかの書きつけ

歴史は動いた

 盆前進行が盆明けまで続いて(自分でも何言ってるのかわからん^^;;)、やっと休暇を取れた間に、色々動きがありました。多くの犠牲の上にではありますが、影響力の大きい団体やメディアによりホメオパシーについて広範な人々に効果がないことが周知されました。特に、渦中の日本助産師会が、以下に引用したような声明を出し、ホメオパシーに否定的な態度を明確にしたことは、実に大きな一歩であったと思います。私は何もできませんでしたが、山口のお母さんの声を琴子の母さんが取り上げ、勇気を出して提訴され、多くの人々が声をあげ、メディアを動かし、学術会議や関係諸団体が足並みを揃えて声明を出し、ついに助産師会が自らの手で総括に踏み出したことは、国家権力に手を出させることなく人々の力によって世の中を一歩前に進めた経験として記憶されるのではないでしょうか(もっとも権力がホメオパシーを擁護しかけているという皮肉な状況でもあるわけですが)。この一連の動きは感動ですらあります。

以下にその助産師会の声明を引用します。

「ホメオパシー」への対応について

 今般、日本学術会議金澤一郎会長は8月24日付けで「ホメオパシー」の治療効果は科学的に明確に否定されており医療従事者が治療に使用することは厳に慎むべき行為という談話を発表されました。日本助産師会はその内容に全面的に賛成します。

 日本助産師会は、山口県で乳児がビタミンK欠乏性出血症により死亡した事例を受け、ホメオパシーのレメディはK2シロップに代わりうるものではないと警告し、全会員に対して、科学的な根拠に基づいた医療を実践するよう、8月10日に勧告を出しておりますが、一昨日出されました日本学術会議の談話を重く受けとめ、会員に対し、助産業務としてホメオパシーを使用しないよう徹底いたします。
 助産師は女性に寄り添い、女性の思いを受容し、援助することが使命ですが、医療現場にあり、命を預かるものとしての責務もございます。私たち助産師の言葉や行動は、女性にとって大きな影響力を持っているということも自覚しております。科学的に否定されているものを助産師が使えば、本来受けるべき通常の医療から遠ざけてしまいかねません。しかるべきタイミングで医療を受けられるようにすることは、助産師の重要な役割です。
 日本助産師会としては、現段階で治療効果が明確に否定されているホメオパシーを、医療に代わる方法として助産師が助産業務として使用したり、すすめたりすることのないよう、支部を通して会員に通知するとともに、機関誌及びホームページに掲載することで、周知徹底いたします。出産をサポートし、母子の健康を守ることができるよう、会をあげて、真摯にこの問題に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、現在、分娩を取り扱う開業助産師について、ホメオパシーの使用に関する実態調査をしており、集計がまとまり次第公表いたします。
 なお、妊娠、出産、子育て期にある女性やそのご家族におかれましても、助産師が助産業務においてホメオパシーを使用しないことをご理解いただきと存じます。助産師は、皆様にとって不利益のないよう、正確な情報の提供に努めてまいります。

無論、これは第一歩にすぎません。しかし大きな一歩だと思います。助産師会の内部でも、きっと尽力され苦労された方が大勢いたのではないかと思います。


 さて、今回の件では、改めてマスメディアの威力を思い知った方が多かったのではないかと思います。ネットの力なんて小さいものなんですよね、世の中を動かすという点では(もちろん、メディアを動かす貴重な情報源であり、また問題意識を共有する人々がその土台を強化し連帯するための重要なツールではあるわけですが)。マスメディアはやはり必要なものであり、ネットがあればいいというものではないことを再確認できたと思います。それだけに、私たちはマスメディアの動向を注視し、良い記事は賛意を表し、問題のある記事には批判を加えていくことが必要なのだと思います。「私たちのメディア」として、一緒に育っていくことが必要なのだろうと思います。今回、『朝日』の記者の貢献は多大なものがあったと思いますが、もちろん『読売』『毎日』をはじめ、おそらくは地方紙でも同様の記事が載ったところも多かったのではないかと思います。普通に生きる人々に寄り添った記事を、これからも期待したいと思います。

 私も仕事が一段落したので(本当に一段落したのか?^^;;)、ぼちぼちブログを再開していきたいなと思っています。