『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん4』(藤子・F・不二雄) | ほたるいかの書きつけ

『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん4』(藤子・F・不二雄)

あけましておめでとうございます…って正月終わっとるがな!!
と、とにかく、今年もよろしくお願いいたします。(^^;;

 正月早々ちょっと大きな仕事が複数あったり、デジカメがいかれて悲しかったりと色々ありまして。とはいえこのままだと世間から忘れ去られそうなので、暮に届いたブツをちょっとご紹介(ああ…これも猫だ)。

 今回の『ドラえもん』は、「1964年度生まれ」の人が読んだ作品を集めたものだ(その年度に生まれた人が読んだであろう『小学○年生』に掲載された作品)。この人々はうらやましいことにあの「さようなら、ドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」をリアルタイムで読んだのだ。何度読んでも泣いてしまう(*^^*)「さようなら、ドラえもん」。
 もはや言うまでもないだろうが、
ぼくだけの力で、きみに勝たないと……。
ドラえもんが安心して……、
帰れないんだ!
の3連続ズームアップ。そしてジャイアンに
知ったことか!
と殴られつつも、粘りに粘ってジャイアンに負けを認めさせるのび太。
 ドラえもんが去る場面、布団で安らかに寝るのび太を涙を流して見つめるドラ、窓の外はまだ真っ暗。次のコマで、まったく同じ構図でドラが消え、日の光が差し込む。次のコマでのび太が起きると、机の引き出しが開いている。この3コマの間に、一体どのようにしてドラは去っていったのか、何を考えていたのか。
 そして一番最後のコマ。ひざを抱え、寂しそうに微笑むのび太、
ドラえもん、
きみが帰ったら部屋ががらんとしちゃったよ。
でも……、
すぐになれると思う。
だから……、
心配するなよ、ドラえもん。
机の引き出しは開け放たれたまま、椅子の位置も朝起きた時と同じである。
 あああ、今こうして書いていても目が潤んでしまう。(^^;; この描写は凄い。実に凄い。
 ちなみにこれが映画化された時も観に行ったのだけど、泣きましたよ。映画館はガキンチョだらけで一番後ろで立ち見でしたけどね。(^^;;

 他にも「ぞうとおじさん」「オオカミ一家」や「弟をつくろう」、「Yロウ作戦」「ポータブル国会」「たとえ胃の中、水の中」など名作ぞろいなのであるが、今回の発見は、『小学六年生』3月号、つまり小学校卒業直前にこの人々が読んだ作品が「りっぱなパパになるぞ!」なことである。最後のほうのセリフを引用しよう(子どもののび太を「小」、大人ののび太を「大」としておこう)。
小:ぼくはがっかりしたね。
小:もっとりっぱなおとなになるはずだったのに。

小:子どものぼくは大決心をしたのに、
小:おとなのぼくがちっとも守ってない!

大:すまん!
大:ゆるしてくれ…。

大:…………
大:…………
大:しかし!

大:それは無理というもんだぞ。
大:今の自分をふり返ってみろ。
大:たいした努力もしないで、ある日突然えらい人になれると思う?

大:失敗しては反省し、また失敗して反省し…。そのくり返しの毎日さ。
大:なおったのは近眼だけ。

小:じゃあ、いつになったらりっぱなおとなになれるの?
大:さあね…。
大:ひょっとして一生今のままかもね。

小:来るんじゃなかった。

大:そうがっくりするなって。
大:少しずつでもましにはなってきてるから。
大:それに……、

大:しずちゃんはすばらしい女性だ。
大:ノビスケも、なまいきだけどかわいいやつだ。
大:このふたりのためだけにでも、ぼくはがんばろうと思うんだよ。

小:じゃ、やる気はなくしてないんだね。
大:あたりまえさ。
大:人生はまだまだ長いんだ。これからが勝負だよ。

大小:しっかりやろうね、おたがいに。
そして現代に戻るのび太。
 色々と耳が痛いのですが、^^;; それはそれとして。小学校を卒業し、大人への階段を一歩踏み出そうとする子どもたちにとって、最高のエールではないですかこれは。そういう目で見ると、この作品の見方も少し変わってくるなあ。

 ちなみに今回の「解説」は大山のぶ代である。これも注目に値するだろう。

 というわけで(?)、今年もよろしくお願いします!
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