『LOVE&THANKS』10月号 | ほたるいかの書きつけ

『LOVE&THANKS』10月号

 先日久々に東京出張だったので、紀伊国屋本店で買ってきた。忙しくてざっと眺めただけなのだけど、ぶっとんだ記事があったので、簡単にご紹介。

 江本勝自らが執筆している「波動的思考のすすめ」(p.37)という連載の第二回だそうなのだが(毎月買っているわけじゃないので前回がどうだったかは知らない)、それがスゴイ。タイトルは「新型インフルエンザウイルスと放射能の波動的性質の類似点から見えてくること。」知っている単語がならんでいるのに意味がまったくわからない。

 最初に新型インフルエンザに絡めて「ウイルスとは何か」みたいな話が展開される。で、そこの文章。
 つまりウイルスとは生命体であって生命体ではない、半生命体であるということです。ウイルスとは、まるで波動的生命体だと思います。なぜなら、波動とは虚実を結ぶ超微細な振動のことを説明する半導体的現象だからです。
…まあウイルスを半生命体と呼ぶのは良しとしよう。文章表現として。しかし、「まるで波動的生命体」って、そもそも「波動的生命体」ってなんだよ。それもわからず「まるで」と言われてもさっぱりわからん。さらに「波動とは~」の文が完全に理解不能。「虚実」はたぶん波動を複素数で表現したのを見たから、虚数と実数で合わせて虚実、なんだろう。で、江本的には「言霊」がリアルなので、虚実というからには世界の虚実のことに意味が転化しても全く問題ないのだと思われる。そして「半導体的現象」ってなんなんだよ。半導体もわかってないんだろうなあ。せめて高校物理ぐらい勉強してほしいよなあ、波動波動って言うならさ。

 で、その次。「放射能に対する愛・感謝の有効性」。チェルノブイリの事故後、ベラルーシのある村の「聖なる泉」からは放射能(たぶん放射性物質のことだろう)が検出されなかったそうで、それは村人が「ただただ愛し信頼していた」からだとか。
 さらにスゴイのが、1999年の東海村原発事故で、400メートル離れた井戸水を送ってもらい結晶写真を撮ったところ「放射能の波動的影響を受けていると思わざるを得ない状態」だったそうな。まあ要するに結晶ができていない写真なわけだけど。で、
 東海村の井戸水には、免疫波動、免疫波動というのは愛・感謝の波動ですね。それを転写することによって、結晶化することに成功したのです。これは、放射能の波動的毒性を愛・感謝の波動が消したということになります。
と言って、「転写」された井戸水の結晶の写真が示されるのである。いやいや、なんもせんでも結晶はできるって。ちゃんとやってちゃんと写真撮れば(ちなみに井戸水を採取したのがいつかは不明)。

 ちなみに「転写」前の井戸水の結晶(ができていない)写真は液体の水がムラムラとしているような様子の写真なのだが、それとインフルエンザウイルスの拡大写真とを比べて「似ていますね」だって。
 二枚の画像が示すように、ウイルスと放射能は、似た性質を持った半生命体ではないかと私は考えます。ともに肉眼で確認することができず、人々の不安や恐怖を引き起こすという点も似ている点も酷似しています。ならば、放射能に有効であった愛・感謝の波動が、今回のウイルスにも有効であるのではないでしょうか。ペットボトルに」「愛・感謝」と書いたラベルを貼った水を日頃から飲むのもひとつの波動的対処法です。
ムチャクチャだよなあ。いやまあそれはわかっていたことではあるけれど、あらためてムチャクチャだなあ、と。元素の種類は108でそれは煩悩と対応しているとか言う人だから仕方ないけど、放射性物質まで「半生命体」とは…。それにそもそも「有効」じゃないし。
 強引な仮説が次のパラグラフでは前提になって話が展開される、というのは江本のパターンだけど、ここでも全面的に展開されていますね。

 ちなみにこの号には、p.22, 23と見開き2ページ使って、連載の「科学の鍵 第8回 スピリチュアルの扉」と題し、ディーン・ラディンの「実験」の紹介をしている。「ディーン・ラディン博士〈前編〉『水からの伝言』の科学的実証。二重盲検法による氷結結晶写真撮影法の検証実験」だそうな。この件については、既に「Skeptic's Wiki」にて批判が行われている ので興味ある方はそちらをご覧ください。