「事業仕分け」による理科支援員の廃止 | ほたるいかの書きつけ

「事業仕分け」による理科支援員の廃止

 「事業仕分け」で理科支援員等配置事業が廃止、だそうで。
 ちょっと記事が見当たらないので、『河北新報』の記事 から。太字強調は引用者による。
 【科学技術振興機構】理科支援員等配置事業は、子どもの理科離れを改善するため、小学5、6年生の一部授業に、研究者や大学院生などを理科支援員や特別講師として派遣。来年度に5500校分、22億円を要求したが、仕分け人は「すべての子どもに平等に機会が与えられるべきだ」「理科専門の教員を採用できるような抜本的な改革が先だ」などと指摘し「廃止」と判定。
実に正論であるが、当然、「理科専門の教員を採用できるような抜本的な改革」をしてから廃止するのですよね?ね?ね?小学校教師自体に理科離れがすすみ、さらに教師の多忙化が進行する中、理科支援員は貴重な戦力だと思うのだが。理科専科の教員の配置が完了するまでは、むしろ理科支援員を増強して、「すべての子どもに平等に機会が与えられる」ようにするのが政治だと思うのだが、どうするのだろう。
 さらに言えば、教師を抜本的に増員して少人数教育をすすめないといかんだろう。人数が多ければ実験だって大変なので(準備・片付けだけで人数が多ければ莫大な時間をとられる)、教師を増やすのは緊急かつ本質的な課題だと思う。
 科学技術振興機構(JST)自体はいい事業も沢山やっているが無駄なやり方も多いので、そのあたりを整理することは重要だと思うのだけれども、これはちょっとなあ。

 ついでにもう一つ。同じ記事から。
 【競争的資金(若手研究育成)】博士課程修了者らに経済的不安を感じさせず研究に専念させることなどを狙った特別研究員事業(要求170億円)は「雇用対策の色合いが強い」「民間に資金を出してもらえないか」との意見が相次ぎ、予算削減となった。若手研究者養成のための科学技術振興調整費(同125億円)と科学研究費補助金(同330億円)も削減との結論。
無茶苦茶やなあ。雇用対策と全然関係ないじゃん。実況を聞いてたわけじゃないのでどういうやりとりがあったのかわからないけど、どこをどう考えたら雇用対策ということになるんだろう?それに民間に資金を求めるのであれば、民間がやりたいような研究分野にしか金はつかんだろうに。それじゃ政治の役割を放棄したと言われても仕方ないだろう。
 若手向けの科研費を削減するのであれば、基盤的な運営経費を潤沢にして、若手にも行き渡るような方策を考えないと、取り返しのつかないことになるよ。10年20年後には日本の大学は不毛の地となっているんじゃないか。