民主党はレイシズムに寛容かどうかが問われている | ほたるいかの書きつけ

民主党はレイシズムに寛容かどうかが問われている

 ここのところちょっと多忙でじっくりとエントリーを書く時間がないのだけれども、この問題はやっぱり触れるべきだろうと思うので、ここで書いておく。

 民主党の吉田康一郎氏が、「不逞朝鮮人は全員出て行け」と「在日特権を許さない市民の会」の集会で発言したそうである。発言の詳細は、『日刊ベリタ』で紹介されている(→「インターネット上に流れている東京都議会議員吉田康一郎氏の発言を紹介  「在日特権」「不逞朝鮮人」といった言葉が並ぶ」 6/30)。演説の様子がYouTubeで見ることができる。リンクは『ベリタ』の記事にあるのでご覧いただきたい。
 考えるまでもなくあまりに酷い発言であるし、政治家としては完全に失格であるが、ここまで酷いと、問われるのは民主党の対応である。つまり、レイシズムや排外主義丸出しの発言を公の場でするような人物(滑稽なのは、本人はそう思っていないとわざわざ演説の中で言っていることだ)を、ロクに批判もせず放置しておくのかどうか、ということだ。

 今までも酷い発言を行ってきた政治家はいくらでもいた。例えば、自民党の太田誠一氏は「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい 」なんて無茶苦茶を言っていた。ただし、このような発言と、今回の吉田氏の発言が質的に異なるのは、太田氏の発言が、彼の周辺ではおそらく違和感のない発想であり、それをだだ漏れにしてしまったという意味で、凡庸なバカであるが故の発言-それだけに根の深い問題でもあるが-であるのに対し、吉田氏の発言は、明らかにそのような言葉を自ら選んで発言した、という点にあるだろう。無論、吉田氏が浸っているコミュニティにおいては「常識」であるのかもしれないが、それが「常識」にはなっていない一般社会をある特定の方向に動かそうという意志が明確に感じられるような言葉の選び方なのだ。

 ついでに言えば、過去にも自民党の柏村武昭氏が、イラクでの日本人人質事件に関連して「反政府、反日的分子のために血税を用いるのは、強烈な違和感、不快感を持たざるを得ない 」と国会で発言したことがあった。これなども吉田氏の発言と同根であると言えよう(ただし、向けられた対象が日本人であった点で、レイシズムとは異なる)。「お笑いマンガ道場」が好きだった人間としては、実に哀しかったものであるがそれはまあいいだろう。

 ともかく、吉田氏を放置する限りは、民主党という政党はレイシズムや排外主義に寛容な政党であると判断せざるを得ない。陰謀論をふりまく藤田幸久氏がいたりもしてダメダメであることはわかってはいるが、今回の発言はそれとは次元の異なる問題だろう。吉田氏がどうしょうもないことは明白で、端的に言って人として間違っているのだが、問題は彼個人を越えて、彼の主張を党としてどう受け止めるか、民主党につきつけられている。