『犬』(友川かずき) | ほたるいかの書きつけ

『犬』(友川かずき)

 先日CDを借りに行った際に、ふと見かけたので思わず借りてしまったのが友川かずきの『ゴールデン☆ベスト』。やっぱりいいなあ、と思いつつ、でも最高傑作は、私の中では『犬 -秋田コンサートライブ』なのだな、どうしても。って聴いたことあるのはそれと『渋谷アピア・ドキュメントライブ』だけなのだけれど。そういうわけで、今回借りた『ゴールデン☆ベスト』は、初めて聴いたスタジオ盤、ということでもあるのだけれど、やっぱライブの方がいい。

 大学浪人時代、FMを良く聴いていた。予備校に行かなかったこともあって、一日家にこもっていたので、なおさら聴いていた。高校を卒業する頃は、完全にキッズ(笑)で、メタルばっかし聴いていたのだが、昼間のFMでフォークを流す帯番組があって、そこでフォークの世界もいいなあ、と思うようになったのであった。

 その一方、当時はローカルFM局があちこちに誕生していて、甲府のあたりにできた「FM富士」という局が、うちからはノイズ入りまくりだけど夜になると電波の状態が結構良くなって、よく聴いていた。なんと言っても、「ザ・ロック」だ。月金で毎晩9時から3時間弱、曜日変わりの担当でたっぷり音楽を聴かせてくれる番組で、そのDJが、月曜は和田誠、木曜は伊藤政則、金曜は大貫憲章というスゴいメンバーだったのだ(火曜水曜はどーでもいいので忘れた)。

 彼らのいいところは、まあ流行りものばっかりにならないのは当然として、フォークだとかGSだとか、昔の名曲も時々かけてくれたところだ。「五つの赤い風船」をかけてくれたのは伊藤政則。そして、確か大貫憲章の時だったと思うが、ある時、友川かずきの「生きてるって言ってみろ」がかかったのである。

 これはもう私の脳天を突きさすような衝撃(って陳腐だな)であった。こうなんというかザクザクと切り刻んでくる感じ。一刀両断、というのではなくて、ナタか手斧で肩のあたりからエイヤッと15cmほどザクッと切り込みを入れられるような。スパッとではなく、ザクッと。しかも全身に。

 当時、70年ごろのフォークのレコードがCDで復刻されるブームがあって(URCレコードとか)、『犬』もその一枚だったはず。もう凄かったね。あああ一体自分は何をやってるんだ、こんなことでいいのか?と思わざるを得ない迫力。

 『ゴールデン☆ベスト』のライナーノーツで小川真一氏が書いているように、「友川かずきの歌声を初めて出逢った瞬間、聞いてはいけないもの、見てはいけないものに出くわした気がしてしまった。それでも彼の声は、目をそむけるな、真っ正面を向けと迫ってくる。」まさにそんな感じであった。

 YouTubeを探したら、何曲かあったので貼ってみる。ついでにもう一曲、「死にぞこないの唄」も貼っておこう。

 …生きぞこないよりはいいもんな。

 ちなみにその時一緒に借りたのが、『アニメタルのベスト』とSLAYERの『Christ Illusion』。一体このヒトなんだろう、と店員さんは思ったかもしれんが、どれも魂が叫んでるんだよ!!






犬/秋田コンサートライブ/友川かずき

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