『サバタイム』大島弓子 | ほたるいかの書きつけ

『サバタイム』大島弓子

 大島弓子は昔々『綿の国星』を読んだ程度で(他にも少し読んだかな?)、あまり、というかほとんど知らないのだけれども。私の印象では、とにかく繊細で、ごくわずかな、でもそれが自分と世界の関係を少し変えてしまったかもしれないような「なにか」に敏感に反応して絵にする作家、というものであった。今回もまあその印象がより強まったわけだけれども。

 このマンガ、1月から12月まで、各月でのサバとの生活を一本づつエッセイ風にまとめたもの。特に魅かれたのが、4月の回の、最初のページの桜の絵(話ではなくて絵、なのだけど)。これまたいかにも大島弓子、という絵なのだが、ピンクの大きな桜の木一本が、ベタで塗りつぶされた真っ黒のコマの中に浮かんでいる。実に幻想的で、実に不思議な光景で、いろいろな気持ちを、勝手にその絵に投影してしまいそうになる。

 なんでまた今さら買ったかというと、最大の理由は古本屋で105円だったからなのだが(スミマセン^^;;)、少し前に、映画『グーグーだって猫である』を見たからというのも大きい。そう、サバが出てくるのですね。あ、サバってのは、大島弓子が飼ってた猫の名前です。定価(1300円)だったら買わないかもしれないが、105円だったら買いですね。あ、ハードカバーで全頁カラーなので、それを考えると決して高いというわけじゃないと思います。


 しかしなあ、最大の衝撃は…ネタバレ含むけど…サバ、オスかよっ!!映画じゃかわいい女の子で出てきたじゃん!!(^^;;

 映画の方は、サバ(最初に死んじゃって、グーグーという別の猫を飼うんですが)の霊(?)であるところの女の子と、死神であるマーティ・フリードマン(笑)の導きによって出会う場面があるんですね。これがまた何とも言えない絶妙の組み合わせで良かったのですが。

 いま amazon で見た ら絶版なのか…しかも、古本でもえらい値がついてる。なんだか悪いことしちゃったような。(^^;;
 ま、カバーに折り目がついてたりして、決していい状態の本ではなかったのですが。