在日米海軍発行の「マンガ 空母 ジョージ・ワシントン」 | ほたるいかの書きつけ

在日米海軍発行の「マンガ 空母 ジョージ・ワシントン」

 しばらく前に『赤旗』で在日米海軍司令部が日本人向けに原子力空母の紹介をするマンガを発行する計画で、それはいずれウェブにもアップロードされる予定と書いてあったので、在日米海軍司令部 のウェブページを時々チェックしていたのだが、昨日、ついにそのマンガが公開されているのを発見した(いつ公開したのかは不明)。トップページの右上にそのマンガの写真がはってあり、"MANGA CVN73 USS George Washington" と書いてあるのがソレ。クリックするとイキナリPDFをダウンロードしはじめて、しかも200ページぐらいあってサイズも12MBぐらいあるので注意。著者は佐藤晴美・かづさひろし。

 で、印刷して、読んで、今晩エントリあげようと思ったら、『赤旗』に先越された。(^^;;
記事は「在日米海軍 まんがで原子力空母PR 横須賀 若者の取り込み図る」 (『赤旗』6/19)。

 私の感想は、まあその記事に書いてあるとおりで、それ以上付け加えるものもないのだけど。
 日系人の青年が原子力空母ジョージ・ワシントンに乗り込み、初めて日本にやってきて、鎌倉に住む祖父母に初めて会う、という物語。なんというか空母の中の日常を知りたければ、少なくとも上っ面はこれで知ることができる。また日常の訓練というものがどのようにされているかも伺うことができる(実際はこんなもんじゃないんだろうけど)。
 しかしですねえ…。なんのために訓練をしているのか、空母を始め艦載機その他が何をするためのものであり、また実際に何をしてきたのか、そういう現実が一切語られない(抽象的にはほんの少し語られるけど)。軍事ってそういうもんじゃないだろ?普通に働く若者の青春、みたいなノリでいいのか?
 無論、個々の兵士はそういう感覚はあるだろうし、米軍といっても海兵隊ほど「殺人」と直面する部隊でもないから、ある程度は穏やかな部分もあるかもしれない。だけど、横須賀の米兵がこれまで一体どれだけの事件を起こしてきたかを考えれば、そこを抜きにしてこんなハッピーなマンガを許していいのかよ、と思う。

 以前、一度だけ横須賀に仕事で行ったことがあるけれど、夜はやっぱりちょっと怖いと思った。憲兵隊らしき兵士が数人づつ組になって巡回していた。なにかあればすぐに駆けつけるんだろうけど、まあ裏を返せば何があっても不思議じゃないってことだよね。マンガはあまりにも現実離れしている気がする。

 しかしそれはそれとして、マンガ自体を見てみると。なんか古臭いんだよなあ、絵柄も展開も表現も。まあそこは味わいとして楽しめる部分はあるけれど。全体として80年代前半~半ば、という感じだし。懐かしい、というような。でも、このストーリーはちょっと陳腐すぎないか?
 でもまあ米軍としてはこれでソレナリに目的は達せられるんだと思う。米軍の本質から目を逸らさせ、気のいい兄ちゃん姉ちゃんたちの集団であるという錯覚を持たせる。いや、米軍の本質を知っていたとしても、それを徹底的に捨象し、身近な存在、あるいは等身大の人間として米兵を描くことにより、米軍に親近感を持たせる効果はあるだろうな。うーむ…。