大事なことは、みんな藤子不二雄に教わった。
というのはもちろん言いすぎですね。でも。
本を整理していたら、出てきたんですよね。藤子・F・不二雄のSF短編集。全8巻の、PERFECT版。あと、ドラえもんの自薦集(上下巻)。
子どものころ「ドラえもん」にドップリ漬かり、そこから派生して藤子作品をガンガン読んでまして。で、当時、判は文庫サイズだけどやたら分厚い「○○大百科」シリーズってのが沢山出てて、「藤子不二雄大百科」ってのがうちにあったんですよ。それにSF短編の一部がごくごく簡単に紹介されてて、読みたくてたまらなかった。
そのうち、短編集が発売されて(SF短編は全3巻で、紙は安っぽかったが分厚かった)、食い入るように読んだものです。
下に貼り付けてあるのは、大人になってから買ったもの(で、今回出てきたもの)。若干作者の手が入っていて、「差別表現」が「修正」されてあるのが残念なんですが、それでもまあ面白さの本質には変わりがない。
「ミノタウロスの皿」なんて、衝撃だったなあ。もう中学生になっていたか、まだ小学生だったか、定かではないけれど。漠然と感じていた「常識」というものへの不信感みたいなものの源泉の一つを、明快に表現してくれていた。
一応簡単に筋を言っておくと(ネタバレになるけど、バレても面白さは全然損なわれないと思います。何度読んでも面白いし^^;;)、宇宙船に事故が発生し、救援が届くまでにはとても食料がもたない。唯一生き残った主人公は、幸いにも人の住む星を見つけ、緊急着陸する。しかしそこは牛ににた「ウス」が支配する星で、人間は家畜であった(ちゃんと話もできる)…という話。要するに、文化相対主義を読者は目の当たりにするわけだ。最後のオチも凄くて、己の価値観を相対化できない者が、客観的にはいかに滑稽かを見せつけてくれる。
他にも「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」とか。偏狭な正義感を持つ人がスーパーマン並みの力を持ってしまったらどうなるか、という。価値観の絶対化と、目的のためには手段を問わないということの恐ろしさが如実に示される(このモチーフはSF短編では他にも色々ありますね)。
「気楽に殺ろうよ」なんてもう文化相対主義に加えて食欲と性欲のどっちを恥じるべきかなんていう実に面白い展開で。自分の普段の価値観というものを問い直すとてもいいきっかけになる。
また「どことなくなんとなく」は独我論が実際成り立つかというのも関わっていて、色々考えさせてくれる。
タイムトラベルものも勿論あるし、親殺しに通じる話もあるし、たまらんのですわ。
いやまあ語りだすとキリがないんですが、(^^;;
堅い教科書読むよりよっぽど勉強になったと思う。というか、これ(短編集だけでなく、藤子不二雄の全作品)がなければ、いまの自分はなかっただろうなあ…と思うと罪作りなのかなんなのか。(^^;;
久々に読んで、誰かに言いたくてたまらくなったという次第。失礼しましたー。
本を整理していたら、出てきたんですよね。藤子・F・不二雄のSF短編集。全8巻の、PERFECT版。あと、ドラえもんの自薦集(上下巻)。
子どものころ「ドラえもん」にドップリ漬かり、そこから派生して藤子作品をガンガン読んでまして。で、当時、判は文庫サイズだけどやたら分厚い「○○大百科」シリーズってのが沢山出てて、「藤子不二雄大百科」ってのがうちにあったんですよ。それにSF短編の一部がごくごく簡単に紹介されてて、読みたくてたまらなかった。
そのうち、短編集が発売されて(SF短編は全3巻で、紙は安っぽかったが分厚かった)、食い入るように読んだものです。
下に貼り付けてあるのは、大人になってから買ったもの(で、今回出てきたもの)。若干作者の手が入っていて、「差別表現」が「修正」されてあるのが残念なんですが、それでもまあ面白さの本質には変わりがない。
「ミノタウロスの皿」なんて、衝撃だったなあ。もう中学生になっていたか、まだ小学生だったか、定かではないけれど。漠然と感じていた「常識」というものへの不信感みたいなものの源泉の一つを、明快に表現してくれていた。
一応簡単に筋を言っておくと(ネタバレになるけど、バレても面白さは全然損なわれないと思います。何度読んでも面白いし^^;;)、宇宙船に事故が発生し、救援が届くまでにはとても食料がもたない。唯一生き残った主人公は、幸いにも人の住む星を見つけ、緊急着陸する。しかしそこは牛ににた「ウス」が支配する星で、人間は家畜であった(ちゃんと話もできる)…という話。要するに、文化相対主義を読者は目の当たりにするわけだ。最後のオチも凄くて、己の価値観を相対化できない者が、客観的にはいかに滑稽かを見せつけてくれる。
他にも「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」とか。偏狭な正義感を持つ人がスーパーマン並みの力を持ってしまったらどうなるか、という。価値観の絶対化と、目的のためには手段を問わないということの恐ろしさが如実に示される(このモチーフはSF短編では他にも色々ありますね)。
「気楽に殺ろうよ」なんてもう文化相対主義に加えて食欲と性欲のどっちを恥じるべきかなんていう実に面白い展開で。自分の普段の価値観というものを問い直すとてもいいきっかけになる。
また「どことなくなんとなく」は独我論が実際成り立つかというのも関わっていて、色々考えさせてくれる。
タイムトラベルものも勿論あるし、親殺しに通じる話もあるし、たまらんのですわ。
いやまあ語りだすとキリがないんですが、(^^;;
堅い教科書読むよりよっぽど勉強になったと思う。というか、これ(短編集だけでなく、藤子不二雄の全作品)がなければ、いまの自分はなかっただろうなあ…と思うと罪作りなのかなんなのか。(^^;;
久々に読んで、誰かに言いたくてたまらくなったという次第。失礼しましたー。
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