SSFSさんへ | ほたるいかの書きつけ

SSFSさんへ

SSFSさん、

 私のブログをyahooの掲示板 で取り上げていただいてありがとうございます。
 折角の機会なので、まだ見てらっしゃるかわかりませんが、幾つかお聞きしたいことがあります。よろしければ教えていただけませんでしょうか?

 SSFSさんは、しきりに「マイナスイオンドライヤー」は性能が良くて、しかもそれは「マイナスイオン」(あるいは「ナノイーイオン」かもしれませんが)の効果のおかげである、という主張をされています。されていますよね?少なくとも私はそう理解しています。もし違うのであれば、おっしゃってください。

 ところが、私には、なぜSSFSさんがそう主張できるのかがわからないのです。つまり、どういう根拠でSSFSさんがそう主張しているのかがわからない。そこを私にもわかるように教えていただけるととても有難いです。私でも理解できるのであれば、他の多くの方々も理解できるでしょうし。

 さて、ドライヤーにおいて、「マイナスイオン」が重要な効果を与えている、というには、次の二つを両方ともクリアしなければいけません。
  1. 「マイナスイオンドライヤー」が実際に性能がいいこと
  2. 性能がいい理由が、「マイナスイオン」のためであること
 あちこちのブログ等でSSFSさんのお名前を拝見致しますが、SSFSさんがお示しになられた根拠としては、1については評判がいいこと、2についてはメーカーの「技報」だと理解していますが、よろしいでしょうか?

 ここでは1についてはおいておきましょう。評判の良さについては私も目にしたことがあります(それをダブルブラインドで定量的に評価するのはとても難しいと思うのですが、それもおいておきます。もちろん、SSFSさんのアイデアをお聞かせいただければ、それは大変有難いです)。ここでは、一部の―つまりそれなりに価格の高い―「マイナスイオンドライヤー」は、本当に性能がいいものと仮定して話を進めましょう(それでいいですよね?安物の「マイナスイオンドライヤー」は効果が出なくてもしょうがない、というような発言をSSFSさん御自身がどこかでされていたと記憶しています)。

 というわけで、早速2に移りましょう。「技報」はPDFで見れるものは以前私も見ました。全部ではなかったと思いますが、kikulog などで取り上げられたものは見たと思います。
 「技報」を読んだときの私の理解は、一見、「ナノイー」(でしたかね?現物がいま手もとにないので記憶に頼って書いています)の効果があるように図が描かれているのですが、しかしデータの誤差を考慮すると、「ナノイー」をオフにしたときとの有意な差がなく、(「技報」では色々とディスカッションが書かれていたと思いますが)結局「ナノイー」の効果だとは言えない、というものです。もちろん、もっとデータを積み重ねて、検査の精度も上げれば、実は差がある、「ナノイー」の効果はある、ということに将来はなるのかもしれません。しかし、現状(少なくともその「技報」が出された当時)においては、残念ながら、「誤差の範囲」でしかない、と言わざるを得ません。

 私の2に関する認識は以上なのですが、SSFSさん、いかがでしょうか?もし異論があれば、言っていただけると幸いです。

 以上より、「マイナスイオンドライヤー」については、仮に実際に性能が良いのだとしても、いまのところ、それが「マイナスイオン」なり「ナノイーイオン」なりのためである、とは言えないのではないか、と思っています。


 さて、ここで少し話を変えたいと思います。
 なぜ多くの人が、「マイナスイオン」を問題にしているのでしょうか?

 「マイナスイオン」は、ご存知のとおり、「身体によい」という幻想と結びつけて広められました。SSFSさんは、ドライヤーについてはそんなこと関係ない、とおっしゃっているように見えます。いえ、技術的な問題については、それはそれで議論すればいいんですよ。ところが、「もしかしたら」効果があるかもしれないのに、なぜメーカーは「マイナスイオン」という手垢のついた名称をかぶせるのでしょうか?それは、「マイナスイオン」という言葉に、科学的・技術的な問題とは別に、市場における付加価値があるからですよね。なぜ付加価値があるんでしょう?

 「マイナスイオンはニセ科学」という場合、多くの人は(少なくとも私は)、「マイナスイオン」という名称をつければ、それがなんであれ(効果があるにしろないにしろ)、「健康」と結び付けられて消費者に届く、と言う点を問題にしています。SSFSさんは、そんな過ぎ去った話をいまさら持ち出すな、と、もしかしたらおっしゃるかもしれません。しかし、しかしですよ。ちょっと調べてみればわかりますが、「マイナスイオンが健康にいいっていうのは根拠が示されてないんですよ」と言うと、10人中一人二人は「ええっ?そうなの?」と言います(数字は適当です。私の経験上、多数派とは言いませんが、無視できない数の人が、「マイナスイオンは健康にいい」と漠然と信じています)。もしそれが信じられなければ、街頭でアンケートをとって見られるといいと思います。渋谷のハチ公前でもどこでもいいです。100人ぐらいはすぐに集められるでしょう。仮に信じている人が1%だとしましょう。日本全体では、およそ100万人になるわけですよね。100万人が、「騙されて」いるわけです。これって、見過ごせないとお思いになりませんか?

 もちろん、私も含めて多くの人は、「マイナスイオン」の効果が未確認のまま製品化され販売されているものが多い、ということも問題にしています。「マイナスイオン」の名が冠せられているにもかかわらず、本当に効果があるものもあるでしょう。大気イオンが生じて、そのために効果を生じているものもあるのでしょう。きちんとメカニズムを検証したことはありませんが、消臭やタバコの煙を消すなどでは効果がある、という話は聞いたことがありますし、それはきっとそうなのでしょう。でも、それだったら「マイナスイオン」などという名前を使わないほうがいいですよね。疑う人は、逆に「マイナスイオン」という言葉があるだけで疑いますよね。
 そういう一部の製品はともかく、多くの「マイナスイオン」製品は、効果があるのかないのかの検証もきちんとせずに販売されているわけです。これは問題だとお思いになりませんか?

 どこかで、SSFSさんは、「マイナスイオン」あるいは「マイナスイオンドライヤー」がどのようなメカニズムで髪にいい影響を与えるのか、ワイワイみんなで議論したいだけだ、とおっしゃられていたように記憶しています(違ったら済みません)。それはそれでされたらいいと思うんですよ。ところが不幸なことに、ネット上で「マイナスイオン問題」について発言している人の多くは、SSFSさんの思惑とは別に、上で書いた「マイナスイオンは健康にいい」という言説というか幻想を問題にしているわけです。個々の製品(ドライヤーとか)のメカニズムについてはそれほど興味がないんですよ。
 実際、私も興味が全くないとは言いませんが、それほどあるわけではありません。それになにより、それを議論できるだけの材料もありませんし、論じるだけの物理的・化学的、あるいは美容や理髪に関する知識もありません。なので、残念ながら、具体的なメカニズムについては一般論以上のことを私が言えるとは思えないんですよ。

 最後に一つ提案があります。SSFSさんは、あちこちのブログのコメント欄や掲示板などで精力的に発言されてきました。その中には、「技報」へのリンクがあったり、各種ドライヤーの評判についてのリンクがあったり、有用なものもありました。ところが、その発言があちこちに分散しているため、あとから振り返って参照するのがとても困難になっています。
 そこで、もしよろしければ、御自分のウェブページを作って、そのような情報をまとめられてはいかがでしょうか?それは多くの人にとってとても役に立つページとなるでしょう。あちこちのウェブサイトを探してくるSSFSさんの努力には頭が下がるのですが、折角ですから、それらをわかりやすくまとめてみてはいかがでしょう?
 また、メカニズムについて議論する場は、ネット上にはほとんどありません。しかし、もしかしたら、SSFSさんと同様に、メカニズムについてああでもないこうでもないとワイワイ議論したい方がいるかもしれません。どうせなら、そういう場も提供されてはいかがでしょう?その方が、興味もない人の間でメカニズムについての発言を続けるより、よほど生産的だと思いますよ。


 長くなりました。とりあえず、私からは以上です。
 このエントリのコメント欄、使っていただいて構いません。ぜひ、お答えいただいて、私の疑問を解消させてください。よろしくお願い申し上げます。