「建国記念」の日 | ほたるいかの書きつけ

「建国記念」の日

 今日は「建国記念の日」ということになっており、祝日だ。祝日になったのは、1967年から。要するに、「神武天皇即位の日」という戦前の「紀元節」を復活させたもので、天皇支配のイデオロギーに基づく「祝日」と言える。

 無論、神武天皇という架空の人物の即位の日、という非科学的な話に基づくものであることは問題であるが、問題の本質は、ここでは科学的か非科学的かということよりも、明治政府が「紀元節」を定めて以降、国民を支配し軍国主義を推し進める道具として使われてきたという歴史的文脈だろう。一般論としては、ファンタジーに基づく祝日があっても構わないと私は思うけれども、紀元節や神武天皇が戦前には「事実」として教えられ、国民支配の道具とされてきた過去は消し去れない。その文脈を無視して議論するのは危険だとさえ思う。

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 入り口は「科学か非科学か」だが問題の本質は科学を離れたところでの主張である、という点では、「水伝」問題の構造とも似ている面があるように思える。こういう構造は、よく見ればあちこちに存在するのだろう。「メタ」な視点の有効性というのは、少なくとも、様々な問題に共通する構造をあぶりだすことで、見通しをよくするというところにあるのだと思う。あぶりだされた構造を一人歩きさせ、図式的に異なる問題に適用することは厳に慎まなければならないだろうけれども。