あなたの余命はおおよそ1年です。と言われて以来、ご存知の通り私は分かりやすくやさぐれました。それは決して主治医が悪い訳ではなくて、IVbと言われると明るく前向きに未来を信じて頑張るとか中々難しいんですよ。いやほんとに。
やさぐれて不安だらけだった私にY先生は希望をくれました。勿論希望だけでなく今まで出来なかった治療方法もですが。先生には生きたいという事。オペを受けたいということ。そして余命宣告を受けて、もう無理だと思っていた事などを話しました。余命の話をしたらデスクを向いたまま、米村先生がふふっと笑いました。
嬉しかったです。余命宣告を笑い飛ばしてくれた。もしも、手術を受けても結果的に最終的な着地点が変わらなかったとしても、私は構わないんですよ。いえ勿論頑張りますが、最初から末期ですから。
医師が私を助けようとしてくれているという現実が嬉しかったんです。その瞬間から心が変わりました。その気持ちに答えるべく自分も頑張ろうと思いました。これは精神のQOLの向上だと思います。体だけでなく心のQOLも大事です。やさぐれて過ごすのはもう終わりです。
そして、これはあくまで私がY外来を受けた感想ですが、部屋から出てくる人は嬉しそうな顔をした人が多かったです。家族と喜んでいる人も何人かいました。私なんかハンカチ絞れるくらい号泣してたし。皆、嬉しそうだねって同行してくれていたKさんと話していました。不思議な空間でした。
実際のところ、術中の死亡率や合併症率などは、高めかと思います。簡単な手術でない上に患者さんは末期の方ばかりです。治療成績とか言う話になると、Y先生の場合は通常のオペと比べるのはどうかなとも思ったりします。その辺は、個人の考え方によると思いますが。
「私を助けてくれるって言うんだよ」
「私を助けてくれるって言うお医者さんが見つかったよ」
Y先生外来の後、すぐに父に電話をしました。2月の告知の後頭を抱えていた父です。お前がいなくなった後、子供たちは任せておけと自分ももう75になるのに。持病もあるのに何をそんな自信満々に言えるのなんて、笑って話してましたが、そんな父が電話口で聞いたこともないような声で泣いてました。
希望があるだけで、毎日楽しく過ごせる。
これは本当に大切なこと。
長くなりましたが、Y先生の診察で私が感じたことを書きました。もう毒を吐くこともありませんし(多分)これからは体を大切にオペに向けて、準備をしていきたいと思います。