最初に、決して批判等のお話で無いということをまず。
東大病院は、私が説明するまでもなく日本の最高学府の附属病院であり、そこで私が治療を受けられた事はとても幸運な事でした。
高い意識と知識に触れられる場に
外見ケアや他の患者さんとの出会い。
私の治療に関わって下さった全てのスタッフの皆さんは、高度なプロの技術と感動するほどのホスピタリティを持ってケアをして下さいました。ただただ感謝の気持ちしかないです。本当に本当にありがとうございました。
「生きたいです」という当たり前の言葉を
私は東大病院で最初から最後まで
口にすることは出来ませんでした。
PETで分かった腹膜播種は
難治性であり、予後不良であると説明を受け
全身がんでSt IVbとの確定診断。
まず最初に緩和という道があると言うことを
一番に伝えられ
出来ることは延命。余命は平均一年。
経過観察になる事は無い。
そして通常ある抗がん剤クールの計画も
あなたの場合は ありませんと言われました。
クール計画が無いという意味が、よく分からず
「では何回やるのですか」と聞くと
先生は、少し考えてからこう言った。
「全てのがんが消えるまでです。」
告知をしてくれた先生に
「それでも私は生きたいです」って言っても
なんだかそれを言うことは、子供の駄々みたいに思えてしまって。
生きたいという当たり前の気持ちを
言葉で医師に伝えたいという思いは
心の中の奥深くの見えないところに
封印して見えないフリをする事にした。
面白おかしく死ぬ死ぬ言って
へらへら明るくしてる方が、全然楽だった。
周りもそれで楽しくなって、これがベストだと思って過ごしてきた。
家族に私の病気のせいで、これ以上悲しい思いをさせるのが、何より不本意だったからだ。

Y先生の診察で
「先生私は生きたいです」
とやっと言えることが出来た
診察の後、父と電話して泣きながら見上げた空は
とても綺麗だった

